2011年07月
2011年07月31日
下北沢Ｘ新聞(1882)〜たわごと的荏原都市論２〜
（一）
歩行移動速度と文章描写には関連がある。徳富蘆花も、国木田独歩も武蔵野を歩いて移動していた。「みみずのたはこと」や「武蔵野」にはこれによって得られた武蔵野の情景が描かれている。描写も思考も緩慢な速度にゆえに濃厚である。
蘆花は、「千歳村粕屋」に明治４０年(1907）に転居してくる。このときは「府下北多摩郡」である。これが世田谷区に編入されたのは昭和１１年（1936）だ。彼は青山高樹町に住んでいた。
千歳村を訪れたのは、「明治三十九年の十一月中旬」だ。「彼等夫妻は住家を探すべく東京から玉川の方へ出かけた。」と記されている。
青山高樹町の家をぶらりと出た彼等夫婦は、まだ工事中の玉川電鉄の線路を三軒茶屋まで歩いた。唯有る饂飩屋に腰かけて、昼飯がわりに饂飩を食った。松陰神社で旧知の世田ヶ谷往還を世田ヶ谷宿のはずれまで歩き、交番に聞いて、地蔵尊の道しるべから北へ里道に切れ込んだ。余程往って最早千歳村であろ、まだかまだかとしば／＼会う人毎に聞いたが、中々村へは来なかった。妻は靴に足をくわれて歩行に難む。農家に入って草履を求めたが、無いと云う。漸く小さな流れに出た。
徳富健次郎「みみずのたはこと」岩波文庫 １９３８年刊
この辺りの記述は興味深い。玉川電鉄が工事中であった。鶴嘴を振るう人夫、もっこをかつぐ男たち、彼らが懸命に働いて電車道が出来た。その脇を徳富夫妻は歩いていく。三軒茶屋からは世田谷通りを行って松陰神社へと辿った。恐らくは、烏山川に架かる「品川橋」を渡って、豪徳寺へ向かい、後は滝坂道を行ったのだろう。作品中にはしばしば「青山街道」と出てくるがこの道のことを言う。
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2011年07月30日
下北沢Ｘ新聞(1881)〜たわごと的荏原都市論〜
（一）
都市が大きな変貌を遂げつつある。近在の街の生活や暮らし、そして家並みも大きく様相を変えている。それとともに地域の固有性が急速に失われている。どこもここも面相が同じになってきた。東京西郊の、かつての武蔵野も土臭さを、つまりは文化を失いつつある。
つい先だって荏原南西部、大田区六郷を久し振りに訪れた。以前とはだいぶ変わっていた。土地独自のものが失せていた。
かつてを思い出した。工場の前庭にはドラム缶があって、虹色に光る螺旋状の旋盤くずが溢れていた。町工場の戸の隙間からは溶接の青い光が洩れていた。油で汚れた黒い手拭いを下げたおっさんが歩いていたり、白い割烹着を着たお上さんが魚屋の主人と大きな声で冗談を言ったりしていた。
ここに古くからの友人が住んでいる。久し振りに出会って彼と飲んだ。たまたま鉄道が好きということから友だちになった。もう半世紀も前の冬だ。列車で東北一周をした。そのとき五能線は客貨混合で、８６形式の蒸気機関車が牽引していた。
「あれから半世紀になるね、思い出深い旅行だったね」
高校時代の友人は言う。その彼も白髪が目立つ。酒屋をやっているが販売の自由化で商売をやっていくのが難しいという。
「水門通りも寂れたね、今ね、ほんと不景気だよ。街も変わったしね」
彼の家にはよく遊びにいった。雑色駅から向かう間、町工場独特の雰囲気があった。
「京急も高架化しているよね。この一帯もすっかり変わったよ」
町工場は潰れたり、海外に移転したりして、その跡地はほとんどがマンションになってしまった。垢抜けした街になったが、よそよそしくなった。
大田区の下町だけではない。荏原の随所で街が変わった。商店街が衰退している。大学があったり、大きな会社があったり、何かの特別な理由があれば別だが、どこもここも衰退し、シャッター街になりつつある。買い物はスーパーという形が根付いたからでもある。人々の高齢化も一因だ。街が早くに形成されたところは、とくにこれが進行している。自身の住む目黒区はその例ではないかと思う。
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2011年07月28日
下北沢Ｘ新聞(1880)〜2011夏再び駒沢練兵場を巡る８〜
野砲兵第一聯隊のゆくえ
（一）
駒沢練兵場跡、野砲兵聯隊跡を四年間に亘って歩いてきた。今回初めて分かったのは、旧軍基地の歴史を物語るものが、自衛隊三宿駐屯地の敷地の中にあったことである。
わかればわかる、わからなければわからない。近衛野砲兵聯隊、野戦重砲兵聯隊の石碑はあった。が、野砲兵聯隊は、もう一つあった。
現今、唯一、兵舎がそのまま残っているのは今の韓国会館である。今回、跡地を巡って分かったのがこの半分が解体されていたことだ。現在残っているものも、解体されて無くなってしまう恐れがある。貴重な歴史的な建造物である。
この兵舎を使っていたのは、野砲兵第一連隊である。国府台から明治４１年に下馬に転営して来ている。この彼等はどうしたのだろうか？。この彼等も、さきの二つの聯隊と同じ思い、旧軍への郷愁を持っていたはずだ。それを遺していてもいいはずである。
ところが、当たり前のことであるが、語る人がいなければ、語れない。近衛野砲兵、野戦重砲兵も生き残りがいたればこそ石碑を建立できた。ところが、野砲兵第一連隊は、無残にも多くが戦死していた。
それでも彼等の石碑はあった。日本ではない。フィリピン・レイテ島・リモン峠である。顕彰碑ではなく、「鎮魂」の碑だった。続きを読む
2011年07月27日
下北沢Ｘ新聞(1879)〜2011夏再び駒沢練兵場を巡る７〜
野戦重砲兵第八聯隊
（一）
あの戦争を戦ったのは人間である兵士だ。徴兵によって集められた者たちをどう訓練するのか。急速に近代化し、軍備を拡張してきた側では大きな課題であった。
この点は欧米列強に遅れをとっていた。促成訓練をするしかなかった。悠長に教えていたのでは間に合わない。身体に痛みという刺激を与えて教え込む、ビンタであり、棍棒であった。「こんなことも分からないのか！」と些細なことでしごかれた。兵営での往復ビンタ、艦隊内での精神棒注入は、日常茶飯事だった。兵士にとっては非人間的な、過酷な場であった。
ところが人間の不思議さだ。痛い目に遭った分、過ぎてしまうとその時代を過ごした自分が愛おしくなる。あの辛い戦争を生きてきたのは俺たちだという思いである。が、負けた戦争は誰も誉めてはくれない。その生きた証を遺すには自分しかない。いわゆる顕彰碑は、生き残った者が拠金して建てた。
先だって訪れた国立競技場の「学徒出陣壮行の地碑」も同じだ。５月に開いた「海軍第１４期飛行予備学生の話を聴く」では、建碑運動の中心となった上島武雄さんがその経緯を語られた。陸軍の出陣学徒にも呼びかけて、これが叶ったという。
自衛隊三宿駐屯地の二つの碑も同じだ。一つは近衛野砲兵聯隊、もう一つは、野戦重砲兵第八聯隊の碑である。
この後者の碑である。大きな石に、「野重八之碑」と刻まれていた。右隅には「下野一雀書」とある。中国戦線で、第六師団の参謀長だった、いわゆる「南京戦」に関わった人のようである。
建碑由来については、もう一つの石碑に刻まれている。
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2011年07月25日
下北沢Ｘ新聞(1878)〜2011夏再び駒沢練兵場を巡る６〜
（一）
間もなく、６６年目の終戦記念日を迎える。あの戦争からすっかり遠ざかってしまった。日ごとに、過去へ、過去へ押しやられる。記憶は薄くなっていくばかりだ。が、それでも往事の思いは生きている。数日前に電話があった。元鉛筆部隊の田中幸子さんからだ。彼女は、浅間温泉に疎開中に武剋隊特攻兵士と出会った。今野勝郎軍曹である。当時小学五年生だった彼女は彼が言った「お嫁さんになってね」という言葉が忘れられない。
その今野軍曹の宮城県の実家を訪問しての翌日のことである。写真や手紙を見せてもらったり、お墓参りをしたりして、往事の思いが一時に噴き出たものだろう。電話の向こうで彼女は泣いていた。
時は押しとどめようがない。過去の疎開生活、軍隊生活は、闇に消えていくばかりだ。それを少しでも堰き止めようと野砲兵聯隊の縁故者が石碑を建立した。そのメインは「房子内親王」の歌である。これを彫った石碑が真ん中にあった。北白川宮房子内親王、すなわち北白川宮成久王の妃である。
いぬる明治の大御代に
屯をここに定められ
忠勇奉公献身の
心に生くる世田谷乃
あゝ、わが近衛野砲隊
名誉は高し
任重し
近衛野砲兵の事績を讃える歌であった。彼等の「名誉は高い」、全国各地から選抜されて入隊している。
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2011年07月24日
下北沢Ｘ新聞(1877)〜2011夏再び駒沢練兵場を巡る５〜
（一）
歴史は虚構である。それを真実たらしめるのは生きている人間だ。が、時間は酷い。それをなす前に時は弾丸のように過ぎ去ってゆく。そして今は、たちまち過去になり、古びて錆果ててゆく。
その歴史時間という船に、人間は矛盾を抱えて乗っている。航行中は現在は見えない。通り過ぎて水脈、ふなみちができてやっと見える。つまりは、歴史の後者優位性である。後に生きた人が客観性を担保し、その時代を批評することができる。渦中に生きた人には、それができない。彼等には言い分があるはずだが、顧みられることはない。
ところが思いがけず、彼等の言い分を遺した石碑を、かつての駒沢練兵場の跡地に見出すことができた。
自衛隊三宿駐屯地構内に野砲兵の碑がある。そのことは前々から知っていた。が、どんなものかは分からなかった。
「わたしは駒沢練兵場のことを調べています。この構内に野砲兵の碑があるということは知っています。それを見せていただけませんか？」
「それかどうか分かりませんが、石碑は確かにあります。衛生学校の前庭です」
自衛隊の広報の係官はそう答えた。案内してくれるという。
「わたしもこの地が駒沢練兵場の跡にあるということを何かで聞いて知っていました。」
「ええ、かつての駒沢練兵場で、演習場ですね。野砲兵聯隊は、今の昭和女子大辺りにありましたから、ここに野砲兵の碑がなぜあるのか疑問に思ってきたのです。」
「ああ、これですね。」
衛生学校という建物の前庭に石碑があった。
「写真を撮っていいですか？」
「建物を入れなければいいです」続きを読む
2011年07月22日
下北沢Ｘ新聞(1876)〜2011夏再び駒沢練兵場を巡る４〜
（一）
「地歩を固める」という成句がある。その土地にしっかりと立って、立脚点を確かなものにすることをいう。が、立っただけでは分からない。多くの土地を歩いた後に、そこに立って、他と比較することで見えないものが見えてくる。
わたしたちは、韓国会館の野砲兵第一連隊の旧兵舎（東側半分になった）を見学した。その後、すぐ近くの都営下馬住宅内の小公園に向かった。馬魂碑と馬頭観音がある。
もうここを巡るのも四年目である。これまでの時間経過で分からないことが分かってくる。この小公園、一帯には都営住宅のアパートが建っている。野砲兵第一聯隊の跡地を整地してそれらは建てられたものだと分かる。
経験が疑問を呼ぶことはある。先だって青山練兵場だった辺りに坂の案内表示があった。「源義家が奥州征伐に赴く途次」という説明があった。足が地についたわれわれは「伝説だ、伝説だ」といって取り合わなかった。何所に行ってもこれは書いてある。とくには八幡神社の創建由来には頼義、義家は必ず出てくる。事実よりも権威付である。
彼等の時代に遡ったとしてもせいぜい八百年程度である。われらが意義づけている歴史は底が浅い。本当はもっともっと年数が経っているはずなのにと思う。
今回駒沢練兵場を歩いたときに、同行の上田暁さんが、大山道の途中で、「ここから駒沢練兵場の方へ上っていく道は、古いものですね。もしかしたら縄文時代から使われていたのかもしれません」という。なだらかな坂が曲がりながら上に続いていく。
丘上のかつての駒沢練兵場は、縄文時代前期の東山遺蹟である。軽く四五千年はある。武蔵野台地にはそういう遺蹟は至る所にある。縄文時代だけで一万年もある。頭が痛くなってくるほどの時間経過だ。
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2011年07月21日
下北沢Ｘ新聞(1875)〜2011夏再び駒沢練兵場を巡る３〜
（一）
明治維新によって新政府が樹立する。近代国家を創り上げるためには産業を興し、軍備を増強する。そのスローガンは、「富国強兵」である。兵隊を殖やし、軍備を拡充する。そのためには場が必要だ。
軍事施設も拡大に拡大を重ねていく。都心にあった練兵場が次第に手狭になってくる。そのために順次、郊外に移転していった。日比谷練兵場から青山練兵場、そして、代々木練兵場・駒沢練兵場である。
わたしたちは、旧軍施設跡をこれまで多く歩いてきた。七月になって青山練兵場、そして、今回は駒沢練兵場である。後者の遺構や痕跡は、ほんの数えるほどしかない。とくに一帯が旧軍の軍事施設であったことを知らせるものは皆無だ。東山中学わきに馬頭観音が祀られている。ここに目黒区が建てた案内看板がある。これに唯一説明があるきりだ。
「練兵場の跡は、みんな公園とか、学校とか、公団住宅とか、国の施設になっていますね」
これは青山練兵場を歩いていたときに話題になったものだ。これは駒場も、駒沢も同じである。
「戦後に残った広大な軍事施設。これをどうするのか自主的に判断できなかったようです。GHQ主導で土地の割り振りが決められたのだと思います。軍用地を軍用地として使い始めれば将来危険が生じる。そういう危惧があって平和的なものに活用するに限るとしたのだと思います。だから学校が多いですね」
任せたとしても、主体的に判断を下して、それを実行に移すことができない。GHQの主導で、土地の割り振りが決められ今に至っている。土地の因果因縁に外国的な手法が入って、土地が区画されている。
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2011年07月19日
下北沢Ｘ新聞(1874)〜2011夏再び駒沢練兵場を巡る２〜
（一）
変転していくプロセスを記録したものが歴史である。が、それは主要なものだけだ。市民レベルのささやかな出来事はたちまちに時間の闇に消えてしまう。
この頃、気づいたことがある。時代、時代には、そのとき固有の生々しい音があったということだ。ところがそれらの多くは記録されていない。
先月、世田谷文学館友の会主催で「響きの鉄道文学史」というタイトルでの二回連続講座を受け持った。多くの作家や作品を取り上げた。ところが一人、網に全く引っ掛かっていなかった作家がいた。
文学館最寄り駅は「蘆花公園」である。まさこの駅の由来となった作家、徳富蘆花である。「ごうごうと鳴る汽車は、武雄と浪子の別れ汽車」というのは「不如帰」の名場面を言う俗謡だ。アモーラルに男女を引き裂いて行く汽車、その響きが見事に描かれている。機械近代を象徴する場面だ。この文学史にぜひ入れたいとこの頃、彼の作品を調べている。つい最近、「みみずのたはこと」に「東京の午砲につゞいて横浜の午砲。湿った日の電車汽車の響。」というくだりがあった。
世田谷粕屋には午砲が響いて聞こえていた。東京、横浜、距離が異なる分、後者が遅れる。電車は、京王電気軌道、汽車は甲武鉄道だろう。この箇所、いい機微が描かれている。音への郷愁をそそられた。
「夜、寝ていると、塀の向こうを玉電が音を立てて走っていくんですよ。何かね、無性に娑婆が恋しくなったものですよ。うん、今は昭和女子大になっている、あそこに兵舎はありましたからね」
ウゥィィン、カタタン、クワタタン、池尻方へ線路は下っている。上り電車の重い響きではなく、やや軽い響きが刺激した。若いときであれば面影に違いない。
もう亡くなられた田中良輔さんの話だ。彼は、「麻雀するときは皆、二号さんがお世話していたね」と言って笑っていた。経営者たるもの女がいるくらいでないと通じなかったと。近衛野砲兵連隊の士官だった人だ。もう今となっては懐かしい思い出話である。「地図のお金が足りないの？、俺がだしてやる」と言って、本当にお金を出してくれた人だ。
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2011年07月18日
下北沢Ｘ新聞(1873)〜2011夏再び駒沢練兵場を巡る〜
（一）
人間の欲望は際限ない。遮二無二速さを求め、多量な消費を願い、大勢が集まることを意図する。それがすべての物事の基準になっている。が、遅くていい、少量でいい、小人数でいい、文化的なものの本質はここにないだろうか？。
１６日の炎天下、駒沢練兵場を巡った。今回で四年目だ。参加者は三名だった。それでもわれらは歴史の片隅にひっそりと眠っていた事実を一つ突き止めることができた。
映画でよく使われる言い方がある。
「おいみんな、いいニュースと悪いニュースがある。どちらから聞きたい？」
「いいニュース」
聴き手が答える。決まったパターンだ。
そうここでも良いニュースから始めよう。
近衛野砲兵連隊跡に建った昭和女子大学には今回も訪れた。去年初めてここには訪れた。そのときは、事前に総務課に行き、見学の意図を説明し、入構許可を得た。
今年は電話連絡だけで済んだ。入構し、南端にある「近衛野砲兵聯隊跡」の石碑へ向かった。この時に、総務課に立ち寄って今回作成した資料を渡して来ようと思った。ここにあった兵営での経験を記した「近衛陸軍砲兵二等兵」（門屋 古寿 昭和五十三年刊）から幾つかを引用していた。とくにはヒマラヤ杉のことは学校の歴史にもなると思った。
門屋二等兵が、この連隊に入営したときに営内の説明を受けている。そこにつぎのようなくだりがあった。
「休んだままで聞け。あそこのヒマラヤ杉（連隊本部前の営庭に、一本の大きなヒマラヤ杉がある。これは北白川宮成久王殿下と、ご結婚遊ばされた、明治天皇の皇女、周宮房子（かねのみやふさこ）内親王殿下、お手植えのものである）にむかって、あれが、第二中隊の起点。」
近衛野砲兵兵営のシンボルがこのお手植えのヒマラヤ杉だった。このことを記した門屋古寿氏は、昭和十四年(1939）一月十日入営した。
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2011年07月16日
下北沢Ｘ新聞(1872)〜品鶴線馬込切り通しを探し求めて５〜
（一）
道とは違って軌道は突起している。それがずっと向こうへ真っ直ぐに延びている。果てには何かがあるだろうかと誰しも思いもする。中原中也が詠んだ歌につぎの作品がある。
二本のレール遠くに消ゆる其の辺陽炎さびしくたちてある哉
（中原中也「温泉集」『中原中也詩集』岩波文庫）
馬込切り通しの写真はこれを想起させた。鉄道のレールが構図としてしっかりと撮られている。ファインダーを覗いて景色を切り取った側の冷静な眼が見える。
先日、近くの駒沢公園に行った折、目にした光景がある。幼い姉妹が手を繋いで歩いて居た。詩人が撮った写真に写っている子どもとほぼ同じくらいだった。愛くるしいその姿をママが撮っていた。被写体をアップして撮ろうと彼女らのすぐ前で撮った。その彼女の眼中には被写体の向こうにある欅並木は目には入っていない。母親からすればそれが自然の撮り方だ。
詩人の場合は撮り方が異なる。写真キャプションには「大森付近（左から長女葉子、二女明子）」とあるが、子どもに焦点を合わせているわけでもない。風景の中にいる子どもたちが撮られている。とくには手前から向こうへと長く延びた線路が印象的である。
うち続いている複線線路、その真ん中を歩いてくる白い帽子を被った子どもたち、それを挟むようにして線路は続いて、彼方で消えている。陽炎は立っていないが、どことなくさびしさが漂っている。
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2011年07月14日
下北沢Ｘ新聞(1871)〜品鶴線馬込切り通しを探し求めて４〜
萩原朔太郎が撮影した馬込切り通しはどこなのだろうか？。きむらたかし氏は、これを環七と二国に挟まれたところにある谷ではないかと推理しておられた。その情報に基づいて、二回ほど歩いて調べてみた。
結論から先に述べると、恐らくこの地点に間違いないだろうと判断される。撮ったところは現在の、横須賀線「薬師跨線人道橋」のあたりだと思われる。
理由は、つぎの通りである。きむらたかし氏は、（写真に撮られた）「こういう地形は、ありそうで、実はそれほどないので、とりあえず。ここ」としていた。
�〇�られた切り通しは、左が低く、右が高くなっている。この崖はさほど深くない。他にも切り通しが四箇所ほどあるが、いずれも本体台地を切り取ったもので谷が深い。写真に撮られたそこそこの浅い谷は他にはみられなかった。
品鶴線が横断している九十九谷は、立会川右岸の稲毛道を載せた台地が大本となっている。ここから派生した丘陵の幾つかを切り通しで抜けている。
北馬込一丁目から南に張り出した台地は、途中で枝分かれしている。これが南馬込一丁目を載せた舌状台地を形成している。この北辺の低いところを品鶴線が切り通しで抜けている。すなわち当該場所である。
��当該場所だと考えられる「薬師跨線人道橋」の道は、萩原朔太郎旧居から道なりに行ける場所である。陸続き、丘続きで無理なく行ける。
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2011年07月13日
下北沢Ｘ新聞(1870)〜品鶴線馬込切り通しを探し求めて３〜
（一）
赤土が剥き出しになった品鶴線・馬込切り通しの風景は、昭和初期に出現した新風景である。これが詩人の感性にどう響いたか。興味深い文学的な問題である。
北原白秋は「緑ヶ丘の秋」と題されたエッセイにも品鶴線のスケッチをしている。
切り通しのレエル、やはり緑の急勾配の屋根の、階下はは総ガラスの日光室の前の芝生、その下の踏切を、印半纏の胸は露わにはだけた若者がすたすたである。
白秋は、鉄道の響きを「カダンス」と形容し、耳の詩とした。「切り通しのレエル」は、目の詩であるようだ。彼の目を惹き付ける「近代風景」の一つだ。
まだ敷設中の単線レエル、その土手に放り出した鉄材、角石、壊れたトロッコの車。御用聞きの小僧が歩いて来る。
このエッセイの初出は、「週間朝日」昭和二年九月だ。このときには線路は単線だった。
そのこちらの断層、向こうの断層、風は草生を輝かしては走つて来る。レエルのそばには赤い鉄材、二三丁先のガアドの上には鶴嘴、シャベル、白シャツの工夫五、六人。
さらりと書いた風景描写だが文字から色合いが手に取るように想像される。切り通しの詩を描いたものだ。「切り通し文学」である。
分かれば分かってくる。このガアドというのは、現在の環七に架かっているものだ。歌集「白南風」に詠まれた「架橋風景」を読んで、いわゆるワーレントラス橋を自身では想像した。が、実際はプレートガーター橋である。これをガアドと白秋は言っている。
きむらたかし氏から送られてきた資料の中にB２９撮影のものと思われる航空写真がある。これを拡大して見ると、ここにワーレントラス橋は写っていない。プレートガーター橋のようだ。これがガアドに違いない。(これについては日本陸軍撮影との注記情報を20:58もらったところだ）
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2011年07月11日
下北沢Ｘ新聞(1869)〜都市墓地をぼちぼち旅する〜
（一）
七月九日、炎天下、天羽大器さんの案内で渋谷の戦争遺跡を歩いた。最後は、青山霊園内を巡った。
今年になって二度目の墓地巡りだ。春には多磨霊園、そしてまた青山霊園を歩いた。墓の作り、大きさ、その違いの中に、近代都市人の死生観、名誉観などが象徴的に現れているように思った。
都市の膨張とともに土地が手狭になって豚舎はとんとん、墳墓もぼんぼん、郊外へ飛んでいった。首都の発展プロセスと墓地という面白い観点である。
明治期の偉人たちの眠る墓、中には巨大なものがある。が、大きい分、今回の地震の影響を受けている。永久にと思って建てたものが時代をひっぺがす地震によってあっさりと損壊を受けていた。皮肉を感じた。死んだ人の墓が生きている人間に倒れてくる。
「偉人たちよ、巨大墓を作ることをなかれ」
わたしはつい冗談を言ってしまった。
「日清、日露戦とかに参加した明治期の軍人達のお墓は大きいですね。余裕があったのですね。ときとして伍長ぐらいでも驚くほどの墓がありますからね。負けた戦争の場合はもう一段も二段も小さくなりますね」
参加者の原さんの話だ。
霊園の中には「常陸丸殉難祈念碑」、巡洋艦「畝傍」祈念碑があったが、石組みの立派な祈念碑が堂々と建っていた。
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2011年07月10日
下北沢Ｘ新聞(1868)〜品鶴線馬込切り通しを探し求めて２〜
（一）
萩原朔太郎が撮った写真で、それがどこで写されたものか気になっているものがあった。品鶴線の切り通しが写されているものだ。きむらたかし氏から、その場所を推理した情報を得ていた。それがきっかけとなって何回か、当該場所に行ってみた。
その品鶴線、（今は、下を横須賀線、上を新幹線が通っている）の現場に行った。地元の人十数人に話を聴きもした。そして、資料でも調べてみた。これによって意外なことが分かった。この切り通しを、北原白秋は文字で描いていた。そのほとんど同じ場所を、萩原朔太郎は撮っていたと考えられる。写真詩である。
（二）
岸田劉生の「道路と土手と塀」は切り通しを描いた秀作である。開けゆく都市の新しい色彩を描いた。ざっくりと削り取られた丘に赤土の道が彼方に延びている。セルリアンブルーで描かれた空は希望でもあり、そしてまた、悲しみでもある。
開通前の品鶴線も「線路と土手と緑」が詩的情緒を醸していた。絵画的であった。その様子を北原白秋は描いている。文字絵だ。
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2011年07月08日
下北沢Ｘ新聞(1867)〜品鶴線馬込切り通しを探し求めて〜
（一）
切通しとは、山や丘などを掘削し、そこに道路を作ったり、線路を敷設したりして、人馬、車、汽車などの交通を行えるようにしたものである。開発当時の武蔵野一帯では至る所にみられた。
関東ローム層がすっぱりと削り取られたその断面には赤い褶曲線が見えた。土の赤と雑草の緑、近代郊外風景であった。
「品鶴線の切り通しの方には行かれました？」
今日の昼間のことだ。馬込の摺墨塚のすぐそばの家の人になんとなく聞いてみた。
「行きましたよ。そう旅客列車は来ないけど行きましたよ。釘、釘を持って行くんですよ。それで線路に並べておいて、貨車に轢かせるんですよ。磁石になりましたからね…」
三田さんの答えだ。少年時代に流行った遊びだった。一番磁力の強いものを持っていることが誉れだった。
「それとね、戦後なんですが、貨物列車に乗って米兵が運ばれて行きましたよ。ええ、装備はちゃんとつけていました。白人も黒人もいました。ぼくらが手を振ったり、声をかけたりすると、チョコとかガムとかを投げてくれましたね」
銃を持った兵隊だったという。小田急線を使って米軍が進駐してきたことは知っていた。品鶴線も同じだった。知られざる鉄道の歴史だ。
「そうここからだと道なりに行って十五分ぐらいだね。うん、確か馬込小の東に沿った道をまっすぐ行ったところには踏切があったようには覚えているな」
萩原朔太郎が撮った品鶴線の切り通し探査の二回目である。前回は、線路沿いを行った。今回は、彼の旧居跡から、そこへと向かった。臼田坂の道続きにそこがあることを確かめたかった。それと白秋城跡の探訪だ。
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2011年07月07日
下北沢Ｘ新聞(1866)〜直線から曲線へ舵を切れ〜
（一）
近代日本に最強烈な激震が起こって四ヶ月を迎える。日常は戻っては来たが、心の平安は全く戻っては来ない。暑くて鬱陶しい夏だ。
フクシマはもっと暑い、いまもなお原発過酷事故の後遺症は癒えないままだ。多くの人々が放射能汚染に怯える生活を強いられている。
東日本大震災は、時間に亀裂が入ったほどの強烈なショックだった。この激震は、近代現代の時間断面をずっぱりと切り取って見せた。高速で回転しているゆえに実態が見えなかった。が、時間停止は文明の色彩をリアルに浮かび上がらせた。上辺だけを取り繕った化粧、虚構、それが一気にはげ落ちてしまった。
いけいけどんどんという進歩発展は、遮二無二利便を追い続けていた。ためらうことなく電気を湯水のように使い、冷やし、熱し、明るくし、片手団扇で過ごして来た。そのことの脆さをいともあっさりと晒してみせた。
この頃、よく思い出す場面がある。漱石の「三四郎」だ。主人公は熊本の高等学校を出て進学のために東京に向かう。このときに車中でとある人物に出会う。広田先生である。
「しかしこれからは日本もだんだん発展するでしょう」と弁護した。すると、かの男は、すましたもので、
「滅びるね」と言った。――熊本でこんなことを口に出せば、すぐなぐられる。悪くすると国賊取り扱いにされる。
明治時代になされたこの予言は、的中しつつある。遮二無二自然山河を壊し、まっしぐらに直線的に、破滅に向かっているように思う。
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2011年07月06日
下北沢Ｘ新聞(1865)〜写真詩「のすたるぢや」を紀行する４〜
（一）
鉄道線はものさしだ。かつては二十五メートルおきに、繋ぎ目があって、そこに車輪があたると音が響いた。ときにカタタン、コトトンと軽やかに、ときにグドドン、グダドンと重苦しく聞こえもした。聴く側の気分と思いとで音楽になったり、騒音となったりした。
例えば、百鬼園先生などは、心地良い響きとして聞こえた。「品川を出て八ツ山のガアド下を過ぎれば、先ずその辺りから汽車は速くなる。座席の椅子のバウンドの工合も申し分ない。」（「第一阿房列車」）、御殿山の切り通しを過ぎて、床下が数瞬、グゥアルルと鳴り響く。目黒川の鉄橋だ。それをしおに、列車は速度を上げて特急列車「はと」は大井町を通過していく。カトタタン、チトタタンと……。
東海道本線を走り去る列車をどのように人は聞いていたか。大井三ツ又商店街では聞き損なった。自身は、ここから稲毛道沿いを北にゆき、もう一つの線を目ざした。道なりにゆくと踏切にぶつかる。原踏切だ。ちょうど横須賀線の下りが通っていった。グチャチャンクタタン、ロングレールを走る電車はメリハリがない。
面白いことがある。私鉄は、電車が通り過ぎると遮断機は直ぐに開く。が、ＪＲは、奇妙な間がある。すぐには開かない。下りが行ったので、また上りがくるのかと思っているとそれを裏切るように踏切が開く。編成の長短があって長く時間を取っているように思う。
現在の横須賀線は、貨物線の品鶴線として昭和四年(1829)に開通したものだ。旅客線だと思っていたら、貨物線だと知って附近住民は落胆したという話を聞いた。開通した列車の音は疎遠なもの、グドドン、グダドンと重苦しく聞こえたに違いない。
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2011年07月05日
下北沢Ｘ新聞(1864)〜写真詩「のすたるぢや」を紀行する３〜
（一）
荏原南端には近代文学の物語がひっそりと隠れている。ここも、独歩が言う「大都会の生活の名残と田舎の生活の余波とが此処で落ち合って、緩やかにうずを巻いている」ところだ。すなわち、武蔵野南端だ。
「響きの鉄道文学史」という講座で、わたしは話をした。鴎外の乗った「青年」の汽車は、ここを通りかかったとき、「はためいた」、カタタン、タンタンと列車が揺れ動いて鳴り響いた。国府津行きの列車は坂井未亡人を想う青年を乗せている。律動は内なるエロスの高まりでもある。南端地形の端ゆえに通りかかる列車の音は山側の崖に当たって響く。
「鴎外の乗った汽車が通った辺りは隈無く歩いて調べました。ちょうどその手前が大井鹿島谷です。 時任謙作がここで『激しい地響きだけを残して東京の方へ走って行』く列車の音を聞いています。」
姿は見えない。カタタンタンタンと谷に響く音だけを聞いている。時任謙作は汽車が嫌いである。列車の響きと自己存在、虚無、そう考えたことがある。
響きの背後を想像しての自身の物語である。これは大井三ツ又商店街を撮った写真の背後にも考えられることである。自身の発想であるが、この写真の向こうには、「暗夜行路」舞台があるのか、「白痴」舞台があるのかということだ。後者は坂口安吾の作品だ。
つまりは、大井町的世界があるのか、蒲田的世界があるのかということである。
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2011年07月03日
下北沢Ｘ新聞(1863)〜写真詩「のすたるぢや」を紀行する２〜
（一）
「朔太郎のようになってはいけないと言われましたね。文学部が志望だったのですが、法学部に行かされたんですよ」
世田谷文学館で「響きの鉄道文学史」というタイトルで話をした。その後の懇談会の席で、前橋出身の友の会の方が話された。道徳規範の対極として詩人の存在がいかに大きかったかがわかる。朔太郎にかぶれてはならぬ。郷土前橋にはそういう意識が強かった。
一方の詩人からすれば故郷は住みにくいところだった。自由気ままに過ごしていると、「ああなってはいけない」と若者は諭された。
東京へ移住してきて、私が第一に嬉しく感じたことは、生活に自由があるといふことである。この「自由」が、田舎の生活では全く得られなかつた。田舎の生活では、所謂「世間」と称するものが、非常に重大な威圧をもつてゐて、これが事毎に個人の自由を抑圧する。たとへば地方の習慣や風習に反したやうな行為は、非常な憎悪をもつて反感される。
「田舎から都會へ」と題されたこれは、全集（筑摩書房、第八巻）注解によると初出は、雑誌「新潮」の「大正十四年六月號」である。詩人は、大正十四年(1925)二月に上京し、「東京府下大井町六一七○番地に住んだ」（年譜）。このときの思いを記したものだ。大井町へ越して来て掴んだ自由である。
昼間から写真機を携えてうろうろしていても好奇な目で見られることはない。大井町三ツ又で撮ったと思われる写真も時間をかけている。馬車がやってくる、電車が通っている、それを狙って撮ったものだ。
いつ撮ったのだろうか。「撮影年は不明のものが多く、大半が大正から昭和の時期に撮影されている」（「萩原朔太郎写真作品「のすたるぢや」新潮社）とあって、これも不明である。考えられることは二つ、大井町在住時、あるいは、馬込在住時ではないかと思われる。この立体写真の左に「ユニオン生ビール」という立て看板が見える。初夏ではないかと想像される。この年、四月には田端へ転居していることからすると、後者の馬込時代にここに来て撮ったものかとも思われる。
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2011年07月02日
下北沢Ｘ新聞(1862)〜写真詩「のすたるぢや」を紀行する〜
（一）
詩人が撮った写真には郷愁が溢れている。「詩の写真集」だ。土地固有の情緒がリアルに醸し出されている。ゆえにそれが何処で撮られたのか前々から深い関心を持っていた。
とくには品鶴線の切り通しを撮ったものは前から気になっていた。複線レールがずっと延びている。その真ん中に彼自身の幼い娘を含めた童女の三人が写っている。詩人の鉄道への思いが滲み出ているように思われる。それは萩原朔太郎である。
数週間前に、きむらたかし氏から、写真の当該場所を推理した情報を戴いた。品鶴線の切り通しである。やっと時間ができて、一昨日、６月３０日、フィールドワークを行った。
「炎天にレールまっすぐ」と詠んだのは種田山頭火だ。新幹線脇の道をひたすらポクポク歩きに歩いた。三枚の写真を携えての「のすたるぢや」探査行だ。
出発地点は、近代の歌枕、大井町だ。「あの大井町の気分ほど、不思議にのすたるぢやなものはない」（「移住日記」萩原朔太郎全集第八巻）という、濃厚な郷愁を詩人が抱いていた町である。
きむらたかし氏から、幾枚かの写真提供を受けたが、そのときにこういうメールがきた。
おお送りしてから気が付いたのですが、Ｐ５８の写真、画面奥にダブル。ルーフの、３枚扉なのでおそらく電車が写っています。
大森あたりで、このように商店街と線路が斜めにぶつかっているところは見当たりません。もしかすると、ここ、大井町の三ツ又商店街じゃないでしょうか？。
確かにそうだ。詩人の故郷の伊香保軌道線の単車ではない。院電の三扉車である。自身でもつぎのように返答を書いた。
たしかに送られてきたもの、道の延長線上に電車が見えていますね。
大森は線路と道路が並行していますから、これはありえないと思います。大井町の可能性はありますね。時間ができたら、調べにいってきます。
萩原朔太郎の写真に見られる鉄道観は、面白い観点だと思います。続きを読む
2011年07月01日
下北沢Ｘ新聞(1861)〜「北沢川文化遺産保存の会」会報第６０号〜
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「北沢川文化遺産保存の会」会報 第６０号
２０１１年７月１日発行（毎月一回発行）
会長 長井 邦雄（信濃屋食品）
事務局:世田谷「邪宗門」（木曜定休） 155-0033世田谷区代田1-31-1 03-3410-7858
会報編集・発行人 きむらけん
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１、下北沢地形学入門〜笹塚支流編〜
地形形状としての下北沢は面白い。入り組んだ沢、連続する傾斜、それが道路や鉄道、そして街並形成に大きな影響を与えている。
下北沢の地形形成がどのようであるのか。これをフィールドワークするのが「下北沢地形学入門」である。今年で四回目になる。
２０１１年６月１８日、これを実施した。これまでは、下北沢の沢の源流部から川下へと幾通りかのコースを歩いてきた。ダイダラボッチ川、森厳寺川、玉川上水・三田用水分水である。
今回は、全く異なったコースを歩いてみた。神田川笹塚支流である。まず、出発点は代田橋である。地形学入門の出発点はここでなくてはいけない。
「下北沢という土地の形状を考えるときに一番大事な点は淀橋台です。この地、荏原郡北端を東から西にかけて淀橋台という大きな台地が貫いています。下北沢一帯は、この淀橋台から派生した台地によっって形成されています。それを便宜的に、西から、代田半島、下北沢半島、代沢半島と呼んでいます。」
「淀橋台は甲州街道、そして、玉川上水が流れています。人間が往来する重要道、江戸の水を賄う水道が通っていました。台地の尾根筋を、これらは通っていました。ここの標高が４５メートルほどです。一帯に降った雨が、水路を通って流れていきました。これが下北沢一帯の沢を削っていきました。北沢川との合流部は、代沢小あたり、ここの標高が二十五メートルです。短い距離の間に二十メートルも下がっています。深い分、それが沢となっています。風光の源となったものです…」
まずは代田橋跡へ行った。西から来た尾根筋道は、ここで南に折れていく、そのために玉川上水も進路を変える。甲州街道を横切るために架けられた橋だ。承応2年（1653年）11月に玉川上水完成時に掛けられた。この橋はダイダラボッチが架けたという伝説がある。これに柳田国男は不満である。
「橋の長さはせいぜい十数メートルですね、ダイダラボッチが架けるにしてはみみっちい。ダイダラボッチ伝説は石器時代にまで遡る壮大な浪漫があるのに江戸時代ではスケールが小さすぎますね」
今回発見したことは、ちょうどかつての代田橋のあったところに歩道橋が架かっていたことである。
「ここ面白いですね、ほら、西を眺めると、甲州街道が下っていますね。一番低いところが明大前です。つまりは淀橋台の一番低いところを切り取って、そこに帝都線、井の頭線を通したのです。台地の薄いところが工賃が安くて済んだからです」
明大前で帝都線は京王線と交差した。他社線の下を潜る場合は、しっかりと挨拶をして潜っていく。
「帝都線は、手前の東松原を過ぎるとカーブして北へ曲がり、ちょうどここに来るわけですよね。京王線とは直角に交差しています。下北沢の場合は、そのときは系列会社ですからアバウトな角度で交差できたんですね。」
持論である。小田急線と帝都線の下北沢での交差角度は、明大前クロスで決定したという考えである。
神田川笹塚支流は、淀橋台の北の縁をずっと巡っている。どぶ川であった。蓋がされていてそこが細い通路になっている。自転車で通ると、フカンフカンとマンホールの蓋が鳴る。途中、抜けたところに杉並区和泉明店街「沖縄タウン」を通る。陰気くさいところに突然に三線が鳴り響いていた。本当の沖縄の下町に来たような雰囲気があった。
皆口を揃えて言っていた。笹塚支流の文化が違うと、北のり面ゆえにしっとりとしている。庶民的な雰囲気が漂っている。
最後は、笹塚の街を通った。ここは台地が広い。街も賑やかだ。
「むかしは笹塚演芸館があって、下北沢近辺の人たちはみんなここへ来ていたんですよ」
２、夏の納涼会のお知らせ
来たよ、来ましたよ。夏の納涼会です。楽しくて、面白くて、うまくて、おいしくて、とんでもなく楽しい納涼会です。
参加資格は市民であればだれでもかまいません。歌ってもいいし、踊ってもいいし、マジックをやってもかまいません。参加した人が、食いかつ、吞み、話すことをして楽しむものです。
基本的にはお弁当が出ます。今回は、信濃屋さんに特注の「森茉莉弁当」を頼むことにしています。山梨県河口湖町から「下北沢文士町」に訪れた人たちに出したこれが大好評でした。それで今回ちょっとこれをデラックスにした「森茉莉弁当」にしようと考えました。皆さん、期待してください。
恒例一人一品、持参も実施します。手作りサラダ、カレー、漬け物、なにかを一つ持参するものです。一種の闇鍋です。怪しいお酒を持ってきたり、何もないからとワンワン用の缶詰めを持って来たりというのもありました。お酒は歓迎します。地酒、地ワインなどです。これをネタに、各自がエピソードを話し、盛夏を笑い飛ばします。
何が楽しいか、それは、市民が市民レベルでしゃべって、発散して、時間を過ごすことです。会費は３０００円です。会場費、飲食代費です。上前はまったくはねていません。残りが出たら、それは、今度は忘年会に回します。これは１２月３日です。
北沢川文化遺産保存の会 納涼会 期日 ２０１１年８月６日（土）
場所 北沢タウンホール 二階集会室 時間 午後五時半から十時まで
会費 ３０００円 資格 市民であればだれでも マイカップ持参のこと
お弁当の都合ありますので必ず申し込んでください。 （七月十六日まで）
申し込み 米澤邦頼 電話で０９０−３５０１−７２７８
メールyonezawa-.-v1961@ezweb.ne.jp
３、定例会：歩く会について
都市物語を旅する会
「北沢川文化遺産保存の会」は毎月テーマを決めて下北沢周辺及び荏原の文化探査をしている。毎月、第３土曜日の午後１時に集まっている。集合地点はそのつど変わる。基本的には少人数で10数名ぐらいというものである。それぞれが歩く会に参加して楽しむというものだ。最後は世田谷「邪宗門」か、他の場所の喫茶店で、お茶を飲みながら歓談している。参加費は部内講師の場合は、１００円、依頼講師の場合は、３００円、特別催行行事の場合は、５００円とする。なお、保険には加入していない。いつも互いに注意しあって歩くことにしている。が、事故のないよう各自で責任を持ってほしい。
この会は参加の義務はない。ふらりと参加して、歩き、そして、歓談して終わりだ。またいつかテーマで面白いなと思った時に参加する。個々人が歩いて文化を発見し楽しむというのがねらいである。歩きは文化だ、健康保持の上でもベストなものだと考える。
○七月戦争月間 ６６年前の戦争を偲んでしめやかに歩く
・第６２回 日時：７月９日(土) 午後一時 JR千駄ヶ谷駅改札口
「渋谷の戦争遺跡を歩く」 案内者 天羽大器
コース：徳川邸、出陣学徒壮行の地碑、明治公園、近衛歩兵第四・第六聯隊跡、持法寺、 梅窓院、青山霊園軍人著名人墓所 会費百円 四五キロ歩く
・第６３回 ７月１６日（土）午後一時 池尻大橋駅
恒例、夏追悼行事 「駒沢練兵場、野砲兵兵営跡を歩く」
池尻稲荷神社、昭和女子大構内、下馬旧兵舎、馬魂碑、世田谷公園、東山中学、
最後は「まんまるの木」 旧軍敷地を一周する 会費百円 四五キロ歩く
・第６４回 ９月１７日（土）午後一時 下北沢駅北口
下北沢の詩人痕跡を歩く 第二書房旧居見学が新たに加わる。
・第６５回 １０月８日（土）午後一時 成城学園駅改札口
成城、砧、祖師谷大蔵の北原白秋を歩く
白秋旧居跡を二箇所めぐります。萩原朔太郎邸そっくりのＴ邸を見学します。
・第６６回 １０月１５日（土）午後一時 京浜急行 新馬場駅改札前
大井町の萩原朔太郎 「蛇窪の踏切」シリーズ�“衒乎�踏切、蛇窪踏切、朔太郎旧居
・第６７回 １１月１９日（土）午後一時 池上線 長原駅改札前
ダイダラボッチと東工大「蛇窪の踏切」シリーズ�⊂�池、大池、狢窪、東工大、擂鉢山
・第６８回 １２月１７日（土）午後一時 代田橋駅前北口
代田半島地形学入門 昨年、好評だったことから第二回を実施する
◎申し込み方法、参加希望について
参加申し込みについて（必ず参加連絡をお願いします）
電話の場合、米澤邦頼 ０９０−３５０１−７２７８
メールの場合 きむらけん aoisigunal@hotmail.com
■ 編集後記
▲先だって、世田谷文学館友の会主催で、２回に亘って、「鉄道と文学」をテーマにした話をした。� 峩舛�の鉄道文学史」�◆崋崛襪療監司験愡法廚任△襦�参加された方々と鉄道の音を共に楽しみながら話をした。自身、「下北沢文士町」の探査がライフワークのように思われているが、こちらが本来のものだ。本邦初と銘打っての講座を開いた。羊頭狗肉ではない。明治、大正、昭和の文学作品の襞に隠された音や絵を辿るというのは本当に初めてだったと思う。「聞かなければ損よ」と言ってくださった方もた。要請があれば、どこへでも出かけて行って話はしてみようと思う。
▲世田谷文学館に行ったときに、今秋行われる「生誕１２５周年記念 萩原朔太郎展」の開催要項を戴いた。わたし自身も協力した、「シモキタザワ猫町散歩」というパンフレットは、好評ですべてなくなったそうである。秋の朔太郎展に合わせて増刷されると聞いた。自分でもほしいから区の施設関係を巡ったがほとんどなかった。また今回もなくなるかもしれない。当方でも、秋には関連散歩を行う。大井町の朔太郎を訪ねたり、朔太郎邸そっくりの砧のＴ邸を巡る歩きを入れたりしている。
▲先日、シモキタの音楽に触れる機会があった。音方面はわたしはよく知らない。が、何でも材料があれば音にできることを知った。思いつきだが、萩原朔太郎「夜汽車」は、響きが綺麗である。誰か音楽として演奏してもらえないだろうか。歌ってもよし、演奏してもよし。ギャラは、「納涼会」会費ゼロ円、ここでライブをやってもらう。どうだろうか？。・当会への連絡、お問い合わせは、編集、発行者のきむらけんへ aoisigunal@hotmail.com
○「北沢川文化遺産保存の会」へご入会ください。
年会費１０００円です。劇部、研究会など主体的な活動もできます。会員にはこの会報を自宅に郵送しています。入会は随時事務局の「邪宗門」で受け付けております。入会金はありません。年会費だけです。
「北沢川文化遺産保存の会」会報 第６０号
２０１１年７月１日発行（毎月一回発行）
会長 長井 邦雄（信濃屋食品）
事務局:世田谷「邪宗門」（木曜定休） 155-0033世田谷区代田1-31-1 03-3410-7858
会報編集・発行人 きむらけん
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１、下北沢地形学入門〜笹塚支流編〜
地形形状としての下北沢は面白い。入り組んだ沢、連続する傾斜、それが道路や鉄道、そして街並形成に大きな影響を与えている。
下北沢の地形形成がどのようであるのか。これをフィールドワークするのが「下北沢地形学入門」である。今年で四回目になる。
２０１１年６月１８日、これを実施した。これまでは、下北沢の沢の源流部から川下へと幾通りかのコースを歩いてきた。ダイダラボッチ川、森厳寺川、玉川上水・三田用水分水である。
今回は、全く異なったコースを歩いてみた。神田川笹塚支流である。まず、出発点は代田橋である。地形学入門の出発点はここでなくてはいけない。
「下北沢という土地の形状を考えるときに一番大事な点は淀橋台です。この地、荏原郡北端を東から西にかけて淀橋台という大きな台地が貫いています。下北沢一帯は、この淀橋台から派生した台地によっって形成されています。それを便宜的に、西から、代田半島、下北沢半島、代沢半島と呼んでいます。」
「淀橋台は甲州街道、そして、玉川上水が流れています。人間が往来する重要道、江戸の水を賄う水道が通っていました。台地の尾根筋を、これらは通っていました。ここの標高が４５メートルほどです。一帯に降った雨が、水路を通って流れていきました。これが下北沢一帯の沢を削っていきました。北沢川との合流部は、代沢小あたり、ここの標高が二十五メートルです。短い距離の間に二十メートルも下がっています。深い分、それが沢となっています。風光の源となったものです…」
まずは代田橋跡へ行った。西から来た尾根筋道は、ここで南に折れていく、そのために玉川上水も進路を変える。甲州街道を横切るために架けられた橋だ。承応2年（1653年）11月に玉川上水完成時に掛けられた。この橋はダイダラボッチが架けたという伝説がある。これに柳田国男は不満である。
「橋の長さはせいぜい十数メートルですね、ダイダラボッチが架けるにしてはみみっちい。ダイダラボッチ伝説は石器時代にまで遡る壮大な浪漫があるのに江戸時代ではスケールが小さすぎますね」
今回発見したことは、ちょうどかつての代田橋のあったところに歩道橋が架かっていたことである。
「ここ面白いですね、ほら、西を眺めると、甲州街道が下っていますね。一番低いところが明大前です。つまりは淀橋台の一番低いところを切り取って、そこに帝都線、井の頭線を通したのです。台地の薄いところが工賃が安くて済んだからです」
明大前で帝都線は京王線と交差した。他社線の下を潜る場合は、しっかりと挨拶をして潜っていく。
「帝都線は、手前の東松原を過ぎるとカーブして北へ曲がり、ちょうどここに来るわけですよね。京王線とは直角に交差しています。下北沢の場合は、そのときは系列会社ですからアバウトな角度で交差できたんですね。」
持論である。小田急線と帝都線の下北沢での交差角度は、明大前クロスで決定したという考えである。
神田川笹塚支流は、淀橋台の北の縁をずっと巡っている。どぶ川であった。蓋がされていてそこが細い通路になっている。自転車で通ると、フカンフカンとマンホールの蓋が鳴る。途中、抜けたところに杉並区和泉明店街「沖縄タウン」を通る。陰気くさいところに突然に三線が鳴り響いていた。本当の沖縄の下町に来たような雰囲気があった。
皆口を揃えて言っていた。笹塚支流の文化が違うと、北のり面ゆえにしっとりとしている。庶民的な雰囲気が漂っている。
最後は、笹塚の街を通った。ここは台地が広い。街も賑やかだ。
「むかしは笹塚演芸館があって、下北沢近辺の人たちはみんなここへ来ていたんですよ」
２、夏の納涼会のお知らせ
来たよ、来ましたよ。夏の納涼会です。楽しくて、面白くて、うまくて、おいしくて、とんでもなく楽しい納涼会です。
参加資格は市民であればだれでもかまいません。歌ってもいいし、踊ってもいいし、マジックをやってもかまいません。参加した人が、食いかつ、吞み、話すことをして楽しむものです。
基本的にはお弁当が出ます。今回は、信濃屋さんに特注の「森茉莉弁当」を頼むことにしています。山梨県河口湖町から「下北沢文士町」に訪れた人たちに出したこれが大好評でした。それで今回ちょっとこれをデラックスにした「森茉莉弁当」にしようと考えました。皆さん、期待してください。
恒例一人一品、持参も実施します。手作りサラダ、カレー、漬け物、なにかを一つ持参するものです。一種の闇鍋です。怪しいお酒を持ってきたり、何もないからとワンワン用の缶詰めを持って来たりというのもありました。お酒は歓迎します。地酒、地ワインなどです。これをネタに、各自がエピソードを話し、盛夏を笑い飛ばします。
何が楽しいか、それは、市民が市民レベルでしゃべって、発散して、時間を過ごすことです。会費は３０００円です。会場費、飲食代費です。上前はまったくはねていません。残りが出たら、それは、今度は忘年会に回します。これは１２月３日です。
北沢川文化遺産保存の会 納涼会 期日 ２０１１年８月６日（土）
場所 北沢タウンホール 二階集会室 時間 午後五時半から十時まで
会費 ３０００円 資格 市民であればだれでも マイカップ持参のこと
お弁当の都合ありますので必ず申し込んでください。 （七月十六日まで）
申し込み 米澤邦頼 電話で０９０−３５０１−７２７８
メールyonezawa-.-v1961@ezweb.ne.jp
３、定例会：歩く会について
都市物語を旅する会
「北沢川文化遺産保存の会」は毎月テーマを決めて下北沢周辺及び荏原の文化探査をしている。毎月、第３土曜日の午後１時に集まっている。集合地点はそのつど変わる。基本的には少人数で10数名ぐらいというものである。それぞれが歩く会に参加して楽しむというものだ。最後は世田谷「邪宗門」か、他の場所の喫茶店で、お茶を飲みながら歓談している。参加費は部内講師の場合は、１００円、依頼講師の場合は、３００円、特別催行行事の場合は、５００円とする。なお、保険には加入していない。いつも互いに注意しあって歩くことにしている。が、事故のないよう各自で責任を持ってほしい。
この会は参加の義務はない。ふらりと参加して、歩き、そして、歓談して終わりだ。またいつかテーマで面白いなと思った時に参加する。個々人が歩いて文化を発見し楽しむというのがねらいである。歩きは文化だ、健康保持の上でもベストなものだと考える。
○七月戦争月間 ６６年前の戦争を偲んでしめやかに歩く
・第６２回 日時：７月９日(土) 午後一時 JR千駄ヶ谷駅改札口
「渋谷の戦争遺跡を歩く」 案内者 天羽大器
コース：徳川邸、出陣学徒壮行の地碑、明治公園、近衛歩兵第四・第六聯隊跡、持法寺、 梅窓院、青山霊園軍人著名人墓所 会費百円 四五キロ歩く
・第６３回 ７月１６日（土）午後一時 池尻大橋駅
恒例、夏追悼行事 「駒沢練兵場、野砲兵兵営跡を歩く」
池尻稲荷神社、昭和女子大構内、下馬旧兵舎、馬魂碑、世田谷公園、東山中学、
最後は「まんまるの木」 旧軍敷地を一周する 会費百円 四五キロ歩く
・第６４回 ９月１７日（土）午後一時 下北沢駅北口
下北沢の詩人痕跡を歩く 第二書房旧居見学が新たに加わる。
・第６５回 １０月８日（土）午後一時 成城学園駅改札口
成城、砧、祖師谷大蔵の北原白秋を歩く
白秋旧居跡を二箇所めぐります。萩原朔太郎邸そっくりのＴ邸を見学します。
・第６６回 １０月１５日（土）午後一時 京浜急行 新馬場駅改札前
大井町の萩原朔太郎 「蛇窪の踏切」シリーズ�“衒乎�踏切、蛇窪踏切、朔太郎旧居
・第６７回 １１月１９日（土）午後一時 池上線 長原駅改札前
ダイダラボッチと東工大「蛇窪の踏切」シリーズ�⊂�池、大池、狢窪、東工大、擂鉢山
・第６８回 １２月１７日（土）午後一時 代田橋駅前北口
代田半島地形学入門 昨年、好評だったことから第二回を実施する
◎申し込み方法、参加希望について
参加申し込みについて（必ず参加連絡をお願いします）
電話の場合、米澤邦頼 ０９０−３５０１−７２７８
メールの場合 きむらけん aoisigunal@hotmail.com
■ 編集後記
▲先だって、世田谷文学館友の会主催で、２回に亘って、「鉄道と文学」をテーマにした話をした。� 峩舛�の鉄道文学史」�◆崋崛襪療監司験愡法廚任△襦�参加された方々と鉄道の音を共に楽しみながら話をした。自身、「下北沢文士町」の探査がライフワークのように思われているが、こちらが本来のものだ。本邦初と銘打っての講座を開いた。羊頭狗肉ではない。明治、大正、昭和の文学作品の襞に隠された音や絵を辿るというのは本当に初めてだったと思う。「聞かなければ損よ」と言ってくださった方もた。要請があれば、どこへでも出かけて行って話はしてみようと思う。
▲世田谷文学館に行ったときに、今秋行われる「生誕１２５周年記念 萩原朔太郎展」の開催要項を戴いた。わたし自身も協力した、「シモキタザワ猫町散歩」というパンフレットは、好評ですべてなくなったそうである。秋の朔太郎展に合わせて増刷されると聞いた。自分でもほしいから区の施設関係を巡ったがほとんどなかった。また今回もなくなるかもしれない。当方でも、秋には関連散歩を行う。大井町の朔太郎を訪ねたり、朔太郎邸そっくりの砧のＴ邸を巡る歩きを入れたりしている。
▲先日、シモキタの音楽に触れる機会があった。音方面はわたしはよく知らない。が、何でも材料があれば音にできることを知った。思いつきだが、萩原朔太郎「夜汽車」は、響きが綺麗である。誰か音楽として演奏してもらえないだろうか。歌ってもよし、演奏してもよし。ギャラは、「納涼会」会費ゼロ円、ここでライブをやってもらう。どうだろうか？。・当会への連絡、お問い合わせは、編集、発行者のきむらけんへ aoisigunal@hotmail.com
○「北沢川文化遺産保存の会」へご入会ください。
年会費１０００円です。劇部、研究会など主体的な活動もできます。会員にはこの会報を自宅に郵送しています。入会は随時事務局の「邪宗門」で受け付けております。入会金はありません。年会費だけです。
