2005年08月01日
下北沢X物語(318)〜ひばりが唄う軍歌は反戦歌(上)〜
「美空ひばりと下北沢」をテーマとしてみたい。
このことにもっとも詳しいのは、代田「邪宗門」の奥さん貴久枝さんである。ひばりの大ファンである。ついこの間、六月に武道館で行われた「美空ひばり十七回忌記念コンサート」にも行ってきたようだ。「邪宗門」の奥の部屋はレコード、写真、ビデオなど、ひばりグッツで埋まっている。
このことにもっとも詳しいのは、代田「邪宗門」の奥さん貴久枝さんである。ひばりの大ファンである。ついこの間、六月に武道館で行われた「美空ひばり十七回忌記念コンサート」にも行ってきたようだ。「邪宗門」の奥の部屋はレコード、写真、ビデオなど、ひばりグッツで埋まっている。
彼女から聞いて、「へぇそうなのかと」と思ったことがある。松林宗恵監督が店に来てつぎのようなことを言ったという。
「ひばりちゃんはふしぎだよ。彼女が軍歌を唄うと、みんなこれが反戦歌になっちゃうんだからね」
その話を聞いたのはだいぶ前だった。が、記憶に残っている。「麦と兵隊」という軍歌を聴かせてもらった。ひばり独特の歌い、思いを旋律にからませて歌われるそれは勇ましくはない。戦争の悲しさが響いてきた。「往けど進めど麦また麦の 波の深さよ夜の寒さ」、行っても行っても果てもない麦畑、むなしい行軍に難渋する兵たちのやつれた姿が浮かんできた。
下北沢と美空ひばりということでいえば映画のロケである。東宝映画「大当り三色娘」のロケが下北沢で行われたと教えられた。昭和三十二年(1957)七月封切り作品である。「goo映画」の解説にはこうある。「『ロマンス娘』につづく美空ひばり、江利チエミ、雪村いづみの三人共演によるミュージカル。東宝スコープ第一回作品である。」
東宝スコープは、自社開発のワイドスクリーンである。従来のものよりも横幅拡大率は170パーセント以上だという。普及してきたテレビ放送への対抗策だったようだ。その第一作目に下北沢が舞台として選ばれたようである。
そのロケ地点は二カ所だと聞いた。一つはサウスアングルの付け根に近い地点だ。
下北沢駅南口を出てすぐ左に曲がって茶沢通りの方へ歩いていくと、道があずま通と交差する。右手角に八百屋さんがある。「八百銀」である。その前はファーストキッチン下北沢店である。角に時計塔があって、定時にはじやりりんとそれが鳴る。
下北沢駅南口を出てすぐ左に曲がって茶沢通りの方へ歩いていくと、道があずま通と交差する。右手角に八百屋さんがある。「八百銀」である。その前はファーストキッチン下北沢店である。角に時計塔があって、定時にはじやりりんとそれが鳴る。
十字路には野菜が匂う。ネギ、ダイコン、ジャガイモ、タマネギなどが台にうずたかく積まれている。今日その脇を通ったときねじりはちまきの主人が路上に居た。この一角は下町風の雰囲気がある。この「八百銀」に男優が乗った車がつっこんでくる。そのシーンが映画に出てくるという。
もう一カ所は、ノースアングルの付け根、駅前北口市場である。美空ひばりが出てくるのはここである。彼女が現れて市場のお店で買い物をするという。映画での設定は、東京下北原マーケットとなっているようだ。
昭和三十年代初頭を飾るのは三人娘だ。が、お嬢さんという設定では観客との差が大きいのだろう。彼女らはお手伝いさんとして出てくる。下町だとハイカラさがない。お屋敷の女中とすれば観客も許せる。山の手、下北沢付近の丘上のお屋敷の女中とすれば舞台映えがする。その彼女らがイケメンの男(宝田明)に同時に惚れて、話は展開する。恋のさや当てなど、どたばたを織り込んだミュージカルである。
(写真は、「美空ひばり十七回忌」を記念して貴久枝さんが創ったものである。)
(写真は、「美空ひばり十七回忌」を記念して貴久枝さんが創ったものである。)
○8月1日発行の「児童文芸」8・9月号に「下北沢」を舞台にした童話が掲載されている。タイトルは「ねこ町いぬ町 下北沢」だ。萩原朔太郎の猫町伝説が下敷きにされている。作者は「広島にチンチン電車の鐘が鳴る」を書いたきむらけん氏である。このブログは同書の舞台公演を応援している。



















