2012年12月09日
下北沢Ｘ新聞(2216)〜再び鉛筆部隊のクリスマスコンサート〜
（一）
「今度ので四回目の参加だと思います」と言ったら、山梨から来られた矢花克己さんが五回目だという。骨董市で鉛筆部隊の手紙を見つけてからの逆算だ。鉛筆部隊マニアが現れて、これに係わる一つ一つの事象が点検されているのかもしれない。
鉛筆部隊の物語は終わらない。昨日、この元隊員だった鹿子木幹雄さんの奥さんと浅草で会った。借り受けた日記は果敢に鉛筆で戦った一人の戦士の記録である。よくもまあこれほど書いたものだと思われるほどの分量だ。
この日記に目を通して浮かんできたのが、戦争とジェンダーという問題だ。これまでの鉛筆部隊の資料はほとんどが女性の手になるものだった。今度のは男子のだ。彼の日記の一部に水車の仕組みへの興味を記した個所があった。北沢川鶴ヶ丘橋近くにあった松沢水車のことらしい。女子はこういうものへ興味は持たない。
昨日、元鉛筆部隊の隊員だった鳴瀬速夫さんのクリスマスコンサートが開かれた。
第１１回〜ハーモニカで綴る〜バッハと世界の名曲と題されて行われた。場所は、下北沢東京都民教会である。
ここの牧師の亀田正巳さんには久し振りにお会いした。
「今年変わった点は井戸を掘ったことです。約7メートほど掘りました。機材を借りて掘るのですよ。砂礫層突き抜けてようやっと水源に辿り着きました。六万年ぐらいを掘った勘定になります…」
災害に備えてのもののようだった。この亀田牧師の話はいつも面白い。地層的な観点から井戸を見ている点などはそうだ。下北沢文化吹きだまり論を語らせると彼ほど面白い人はいない。
（二）
東京都民教会は住所は代田だ。が、下北沢駅西口からは数分でたどりつく。ここでひっそりと芸術の花が咲いているのも面白い。ハーモニカは口琴芸術という。
間もなく「下北沢文士町文化地図」はできあがる。今回からは文士町に、アートタウンというルビを入れて芸術家も網羅している。文学や芸術さまざまな価値が参集している。それが分かる地図である。もちろん全部は拾えていない。芸術は青で、文学は赤だ。が、本当はこれには止まらない。演劇、音楽、映画などもある。下北沢は現役の文化濃密都市だ。
下北沢周辺には教会が多い。その中で口琴芸術のコンサートが定例的に開催されている。このことを知る人は知っているというのも鉄道交点文化の特徴だ。ひそやかであるだけに興味深い。
鉛筆部隊の松本明美さんはご主人の加減が悪いということで出席されなかった。鹿子木さんの日記に度々出てくる熊田さんにも話を聞いてみたいと思ったが残念ながら見えなかった。
「緑バンドのことはこの鳴瀬先生に聞くといいですよ。生き証人ですよ」
会の仲間の一人、川田さんが参加していて言う。鉛筆部隊に対する楽器部隊も面白い物語素材だ。物語の種は尽きることはない。
（三）
鳴瀬速夫さん、鉛筆部隊だったときはラッパの名手だった。朝早く、淺間温泉に彼のラッパが鳴り響いて起床となった。今はそれを口琴に握り替えて吹きまくる。
「行商人」というのは曲目として難しいという。緩急、そして寂、それを果敢に吹いてみせた。老のチャレンジだという。死ぬまで闘う気概が必要だと思った。
コンサートが終わった後、鉛筆部隊仲間でまた祝宴だ。といっても田中幸子さんも、矢花克己さんも飲めない。迷い迷って行ったところは下北沢二子通り「ふるさと」だった。なんのことはない。この店の北隣りが彼女が住んでいたところだった。
「満州国皇帝から頂いた黄色の布に書かれた今西軍曹の書、それと時枝宏軍曹からもらったという鳥の置物、ここで燃やしたのですね」
「そうそう」
この飲み屋、私たちがダイダラボッチの劇を行ったときに打ち上げをした店だ。また海軍飛行予備学生第十四期生の人びとと会ったのもこの店だった。
「この間、下北沢の街歩き案内をしてくださったでしょう。あのときに『寓居』の話をされていて、ふと思い出したのは昔のことです。うちにも二人二号さんがいてね……」
やっぱりだ。下北沢には多くの価値が参集しているが色気、色欲も濃厚に集まっていたと思った。
東京都民教会は住所は代田だ。が、下北沢駅西口からは数分でたどりつく。ここでひっそりと芸術の花が咲いているのも面白い。ハーモニカは口琴芸術という。
間もなく「下北沢文士町文化地図」はできあがる。今回からは文士町に、アートタウンというルビを入れて芸術家も網羅している。文学や芸術さまざまな価値が参集している。それが分かる地図である。もちろん全部は拾えていない。芸術は青で、文学は赤だ。が、本当はこれには止まらない。演劇、音楽、映画などもある。下北沢は現役の文化濃密都市だ。
下北沢周辺には教会が多い。その中で口琴芸術のコンサートが定例的に開催されている。このことを知る人は知っているというのも鉄道交点文化の特徴だ。ひそやかであるだけに興味深い。
鉛筆部隊の松本明美さんはご主人の加減が悪いということで出席されなかった。鹿子木さんの日記に度々出てくる熊田さんにも話を聞いてみたいと思ったが残念ながら見えなかった。
「緑バンドのことはこの鳴瀬先生に聞くといいですよ。生き証人ですよ」
会の仲間の一人、川田さんが参加していて言う。鉛筆部隊に対する楽器部隊も面白い物語素材だ。物語の種は尽きることはない。
（三）
鳴瀬速夫さん、鉛筆部隊だったときはラッパの名手だった。朝早く、淺間温泉に彼のラッパが鳴り響いて起床となった。今はそれを口琴に握り替えて吹きまくる。
「行商人」というのは曲目として難しいという。緩急、そして寂、それを果敢に吹いてみせた。老のチャレンジだという。死ぬまで闘う気概が必要だと思った。
コンサートが終わった後、鉛筆部隊仲間でまた祝宴だ。といっても田中幸子さんも、矢花克己さんも飲めない。迷い迷って行ったところは下北沢二子通り「ふるさと」だった。なんのことはない。この店の北隣りが彼女が住んでいたところだった。
「満州国皇帝から頂いた黄色の布に書かれた今西軍曹の書、それと時枝宏軍曹からもらったという鳥の置物、ここで燃やしたのですね」
「そうそう」
この飲み屋、私たちがダイダラボッチの劇を行ったときに打ち上げをした店だ。また海軍飛行予備学生第十四期生の人びとと会ったのもこの店だった。
「この間、下北沢の街歩き案内をしてくださったでしょう。あのときに『寓居』の話をされていて、ふと思い出したのは昔のことです。うちにも二人二号さんがいてね……」
やっぱりだ。下北沢には多くの価値が参集しているが色気、色欲も濃厚に集まっていたと思った。
