2013年03月04日
下北沢Ｘ新聞(2272)〜シモキタ駅前伝説は弁天池をめざす〜
（一）
「劇団ほぼ無職」の旗揚げ公演の打ち上げが昨日行われた。場所は、松原西ふれあいの家だ。なんとまあ、「弁天児童遊園」の隣りだ。ここは北沢川支流の一つ、その源流部だ。かつてここに弁天池があって竹久夢二もよく訪れていた。彼のアトリエ少年山荘の近くだ。
先週日曜日に、バーレスＱ〜シモキタ駅前伝説〜の公演が北沢タウンホールで行われた。
「いやね、あんなにお客さん来ると思わなかったんですよ。結構上の方まで一杯でしたからね……」
今にも忘れがたいできごとであったようだ。演じ手はいまだに興奮を引き摺っていた。
若い男女が中心だ。その彼らがつぎつぎに自己紹介をする。それぞれがそれぞれに事情を抱えている人だった。それを楽しく、面白く語っていた。
その話を聞きながら、「劇団ほぼ無職」という場があって、そこに参加することで心の解放ができたようだ。
「学校行っていないから台本が読めないのですよ。それで漢字なんかにみんなルビを振ってようやっと読めるようになったんですよ」
彼女は不登校だった。ところが、この劇団で太宰治を演じる主役級をまかされた。
「なんで私にこんな大役が回ってきたのか分かりませんでしたけど」
「ああ、彼女ね、なんというかガッツがあったんですよ」と志田歩さん。
あけっぴろげなところがいい。彼らみんなは公演までの稽古の間に、彼らどうしがふれ合った。それで常日頃持っていた鬱屈を晴らしていた。
そんな中に自分がいても誰も不思議だとは思わない。
「ああ、けんさんはですね、こうしてください」などと言って、いつの間にか自分も仲間になっていた。
（二）
シモキタでのふれ合いは多くのロートルから話を聞き出すことだった。若い人から、取材したことはほとんどなかった。
「なんでしょう、こうよくわからないのですが、ずんずん世の中が変わっていくことに、何か不安を覚えますね。」
一人の若者のことばだ。そういう中で、何かこの劇団に入ることで自分を見つけだそうとしていた。
「脚本を書くって難しいね、大体、本を書くということもそうだけど、みんな読もうとは思っていないんだよね、だから読ませるために、こう自分の世界に引き摺っていかないといけない。観客だってそうなのかもしれない。劇を見ようとはしない、そこを脚本の力、言葉の力で引き込んでいく……」
私は隣りに座った脚本家志望の二十七歳にそんな話をした。
「あれ、やっぱり、声が伝わるっていうことが基本だよね。伝わることが一番だよ。それでそれができるようになった、その登場人物を声のメリハリで演じ分けていく。そういうことが、観客に伝わっていくようになるときっと自分も楽しくなってくるのじゃないかと思うけど…演ずる楽しさってあるのじゃない」
これは若手の女性、西川ルナさんに私が言った。
（三）
私が面白いと思ったのは、彼らの繋がりだ。下北沢文士町の人間交流関係といっしょじゃないかと思った。たまたま「劇団ほぼ無職」ができて、そこに様々な事情を抱えた人が集まってきた。鉄道交点には人が吹きだまってくる。
ひしゃげた鉄道交差に、たまたま、それぞれに事情を抱えて、文士や文化人や芸術家が集まってきていた。蓋をあけてみると様々な人が集まっていた。何となく、人間的なにおいをみなが嗅ぎつけてきて集まったのではないかと思う。
（四）
「社会、世の中、どうしようもなく、良識とか、善意とかいうところから離れて、金の亡者になってどんどん変わるでしょう。なんかどうしようもない無力感を覚えますよ。道路作ったり、オリンピックをやったり、なんか上っ面だけを変化させている。こういう若者を置き去りにしているよね」とこれは私。
「それはそうなんだけどね…、やっぱり言い続けるしかないんだよ」
区議、無党派市民の木下泰之さんがいう。どうもこの頃、世の中、多数党に押し切られている。
「オリンピック反対だよね」と私。これ以上東京を肥え太らせてどうするのだろう。
「うんそうだよ」と彼。
武器輸出三原則の例外容認については聞かなかった。戦闘機Ｆ３５は各国共同生産でこれに日本も加わるという。たとえ空爆して、その戦闘機が女子ども何百人を殺そうとも、責任など負うはずもない。貧すれば鈍する。この国家、おかしい。金の亡者になりつつある。あの戦争に全く懲りていない。危ない､危ない。
（五）
「これから、これをきっかけに色んなことにチャレンジしていきたい。お笑いとか、映画とか……」
主宰者のいわいゆうきさん、色んな事情を抱えている、シモキタの若い人に夢を与えていた。これに加わって何かをすると、いいことがある。夢に向かって、若者よ､チャレンジしよう。
（劇団提供ＤＶＤから）
シモキタでのふれ合いは多くのロートルから話を聞き出すことだった。若い人から、取材したことはほとんどなかった。
「なんでしょう、こうよくわからないのですが、ずんずん世の中が変わっていくことに、何か不安を覚えますね。」
一人の若者のことばだ。そういう中で、何かこの劇団に入ることで自分を見つけだそうとしていた。
「脚本を書くって難しいね、大体、本を書くということもそうだけど、みんな読もうとは思っていないんだよね、だから読ませるために、こう自分の世界に引き摺っていかないといけない。観客だってそうなのかもしれない。劇を見ようとはしない、そこを脚本の力、言葉の力で引き込んでいく……」
私は隣りに座った脚本家志望の二十七歳にそんな話をした。
「あれ、やっぱり、声が伝わるっていうことが基本だよね。伝わることが一番だよ。それでそれができるようになった、その登場人物を声のメリハリで演じ分けていく。そういうことが、観客に伝わっていくようになるときっと自分も楽しくなってくるのじゃないかと思うけど…演ずる楽しさってあるのじゃない」
これは若手の女性、西川ルナさんに私が言った。
（三）
私が面白いと思ったのは、彼らの繋がりだ。下北沢文士町の人間交流関係といっしょじゃないかと思った。たまたま「劇団ほぼ無職」ができて、そこに様々な事情を抱えた人が集まってきた。鉄道交点には人が吹きだまってくる。
ひしゃげた鉄道交差に、たまたま、それぞれに事情を抱えて、文士や文化人や芸術家が集まってきていた。蓋をあけてみると様々な人が集まっていた。何となく、人間的なにおいをみなが嗅ぎつけてきて集まったのではないかと思う。
（四）
「社会、世の中、どうしようもなく、良識とか、善意とかいうところから離れて、金の亡者になってどんどん変わるでしょう。なんかどうしようもない無力感を覚えますよ。道路作ったり、オリンピックをやったり、なんか上っ面だけを変化させている。こういう若者を置き去りにしているよね」とこれは私。
「それはそうなんだけどね…、やっぱり言い続けるしかないんだよ」
区議、無党派市民の木下泰之さんがいう。どうもこの頃、世の中、多数党に押し切られている。
「オリンピック反対だよね」と私。これ以上東京を肥え太らせてどうするのだろう。
「うんそうだよ」と彼。
武器輸出三原則の例外容認については聞かなかった。戦闘機Ｆ３５は各国共同生産でこれに日本も加わるという。たとえ空爆して、その戦闘機が女子ども何百人を殺そうとも、責任など負うはずもない。貧すれば鈍する。この国家、おかしい。金の亡者になりつつある。あの戦争に全く懲りていない。危ない､危ない。
（五）
「これから、これをきっかけに色んなことにチャレンジしていきたい。お笑いとか、映画とか……」
主宰者のいわいゆうきさん、色んな事情を抱えている、シモキタの若い人に夢を与えていた。これに加わって何かをすると、いいことがある。夢に向かって、若者よ､チャレンジしよう。
（劇団提供ＤＶＤから）
