2013年10月19日
下北沢X新聞（2425)〜世田谷に眠る近代戦争史の真実〜
（一）
人類とか、人間は、宇宙の歴史という観点からみれば全く取るに足りないものに見えてくる。
今年二月ロシアで隕石が落下した。その大きな塊がチェバルクリ湖から引き揚げられたというニュース映像が流れた。直径一メートルほどで重さは５７０キロもあった。その表面がてかてかになっていて溶けた跡が生々しい。この落下した隕石については先に調べが進められていて、「１億数千万年前にほかの天体と衝突して溶けたとみられる痕跡」が認められるという。これを知って日々一日の時間をあくせくとしていることの愚かさを痛切に思ったことだ。
しかし、今ある現実は何ら変わることはない。ところが、昨日のことだった。地域風景資産のことでよく訪ねていた桜新町の会社の側を通ったとき、異様に思ったことがある。ほとんどの看板が取り払われて、一体これはどういう建物なのかと思われるほどに無装飾化されていた。電力会社だ。この光景を見て、福島原発事故の甚大さ、大きさを改めて知ったことだ。日向から日陰に一気に転落したものを見るようであった。
この他、荏原逍遙で気づいていることは、電気関係に関連した社宅の警戒が一層に強まっていることだ。赤字で監視下カメラ稼働中とか、関係者以外立ち入り禁止とかの看板が目につくようになった。
それでも一日一日はめくられていく。私は相変わらず、近代戦争史の一ページを開こうとやはりあくせくしている。
私が追っている話の取材源が主には世田谷にある。これは特異な点だと言える。気づかない歴史真実だ。
一昨日だ。手許にある「集団疎開宿泊所一覧」を改めてチェックしてみた。すると意外なことが分かった。自分で気づかなかったことである。この表に載っている世田谷のほとんどの学校は聞き書きを行っていた。ところが、一校だけが抜けていたのだ。これ以外の学校では航空兵との接触が普通にあった。とすればそこでも当然行われていたと考えてよいだろう。
（二）
その学校の疎開学童にどのようにコンタクトを取るのか？、これがなかなか難しい。駒繋小の場合は、同窓会にメールをして該当者を探してもらった。その成果はたちどころに得られた。しかし、ネットで調べてもこの学校の同窓会は引っ掛からない。
その該当地域は、我々の活動している地に隣接している。人脈から行けるかもしれないとも思った。が、そのルーが浮かんでこない。こういう場合、どうするのか？、出した結論は、直撃取材である。
昨日は、二校を訪問した。最初の駒繋小は、学校ではなかった。近くに住む人に偶然出会って聞き書きをした。淺間温泉目之湯に泊まっていた疎開学童だった。聞いた話をまとめて、当人に郵便で送ったところ戻ってきた。駒繋は荏原逍遙の範囲だ。届けることにした。
「いつもなら主人はもう帰っているんですけどね、よかったら家で待っていませんか？」
「手紙におよそは書いてありますから」
奧さんにそう言って辞去した。
下馬から三軒茶屋に向かう。かつての野砲兵営をぐるりと巡る道路をゆく。かつての軍事道路である。砲車の牽引は馬から機械に変わってここには戦車が通るようになった。歴史真実だがもう忘れ去られている。
（三）
私はどこへ向かっているのか？。たいそうなことではない。太子堂小学校である。先の一覧表には各旅館にいた学童の数が記載されている。十二の旅館に別れている。疎開学童の中でもこの分宿は際だっている。得られる情報も多いのではないか？。その総数は六百二十八名となる。世田谷の疎開学童の中で群をを抜いている。
学区域は、玉電によって拡張してきた地域である。市電系統発展の場合は、下町的雰囲気が形成される。
「ええっとね、大正八年に創立した学校なのですよ。木造でしたね、ええ、ここだけ焼けなかったのですよ。いや私はこの学校ではありません。麻布でした」
学校の側で掃除をしていたお婆さんに話を聞く。そんなに古かったか？。創立は調べると、昭和四年だった。「東京府荏原郡第四荏原尋常小学校として開校」している。なるほど東大原が第三荏原、その次がここだったのかと知る。
「今年は創立八十五周年になるのですよ」
小学校の玄関受け付けにいたＰＴＡのお母さん。公開授業週間で学校には自由に入れるようだ。
「いやあ、疎開のことは知りませんね」
若いお母さんは知らない。
「副校長先生が対応してくださいますが、午前中は手一杯なので電話をしてみてください」
ＰＴＡの役員の方が話をつけてきてくれた。
家に帰ってから電話を掛けた。副校長先生の話ではまとまった同窓会はないとのことだった。それでも関係方面に当たってくださることになった。歴史真実を解明するための希望がわずかに見えて来た。
（今日８８回目の街歩きを行った。「北沢の丘の横光利一を歩く」を実施した。一五六名ほどの参加があった。写真は森敦旧居付近の当該番地辺りの路地風景である）
その学校の疎開学童にどのようにコンタクトを取るのか？、これがなかなか難しい。駒繋小の場合は、同窓会にメールをして該当者を探してもらった。その成果はたちどころに得られた。しかし、ネットで調べてもこの学校の同窓会は引っ掛からない。
その該当地域は、我々の活動している地に隣接している。人脈から行けるかもしれないとも思った。が、そのルーが浮かんでこない。こういう場合、どうするのか？、出した結論は、直撃取材である。
昨日は、二校を訪問した。最初の駒繋小は、学校ではなかった。近くに住む人に偶然出会って聞き書きをした。淺間温泉目之湯に泊まっていた疎開学童だった。聞いた話をまとめて、当人に郵便で送ったところ戻ってきた。駒繋は荏原逍遙の範囲だ。届けることにした。
「いつもなら主人はもう帰っているんですけどね、よかったら家で待っていませんか？」
「手紙におよそは書いてありますから」
奧さんにそう言って辞去した。
下馬から三軒茶屋に向かう。かつての野砲兵営をぐるりと巡る道路をゆく。かつての軍事道路である。砲車の牽引は馬から機械に変わってここには戦車が通るようになった。歴史真実だがもう忘れ去られている。
（三）
私はどこへ向かっているのか？。たいそうなことではない。太子堂小学校である。先の一覧表には各旅館にいた学童の数が記載されている。十二の旅館に別れている。疎開学童の中でもこの分宿は際だっている。得られる情報も多いのではないか？。その総数は六百二十八名となる。世田谷の疎開学童の中で群をを抜いている。
学区域は、玉電によって拡張してきた地域である。市電系統発展の場合は、下町的雰囲気が形成される。
「ええっとね、大正八年に創立した学校なのですよ。木造でしたね、ええ、ここだけ焼けなかったのですよ。いや私はこの学校ではありません。麻布でした」
学校の側で掃除をしていたお婆さんに話を聞く。そんなに古かったか？。創立は調べると、昭和四年だった。「東京府荏原郡第四荏原尋常小学校として開校」している。なるほど東大原が第三荏原、その次がここだったのかと知る。
「今年は創立八十五周年になるのですよ」
小学校の玄関受け付けにいたＰＴＡのお母さん。公開授業週間で学校には自由に入れるようだ。
「いやあ、疎開のことは知りませんね」
若いお母さんは知らない。
「副校長先生が対応してくださいますが、午前中は手一杯なので電話をしてみてください」
ＰＴＡの役員の方が話をつけてきてくれた。
家に帰ってから電話を掛けた。副校長先生の話ではまとまった同窓会はないとのことだった。それでも関係方面に当たってくださることになった。歴史真実を解明するための希望がわずかに見えて来た。
（今日８８回目の街歩きを行った。「北沢の丘の横光利一を歩く」を実施した。一五六名ほどの参加があった。写真は森敦旧居付近の当該番地辺りの路地風景である）
