2014年02月04日
下北沢X新聞(2496)〜赤い屋根の『小さいおうち』はどこ５〜
（一）
武蔵野に電車線が敷設され沿線に郊外住宅地が形成された。東郊よりも西郊である。田山花袋は言う、前者の美は、水郷の美、沼澤の美であり、後者は、「丘陵、雑木林、霜、風の音、日影、氷など」であると。すでにこちらは文学的である。叙情性が濃厚な西に鉄道が延伸していったとも言える。
風景と建物と人間とが絵になった。例えば、物語の中にこんな記述がある。「京橋のアラスカへお食事にお連れいただいたのも、よい思い出である。そういう特別の日には、前もって頼んでおいたハイヤーが坂道を上ってくるのだ」。地形はフラットではない、タイヤを軋ませて車が坂道を上ってくる。これも絵である。
作品をどうイメージするかは読者の自由だろう。が、ここでいう坂道は家が丘上にあったことを示唆する。実際「日当たりのいい南側にはお部屋が三つ」と文中にあるが南のり面にこの『小さいおうち』はあったと考えられる。
鉄道従事者は、進行方向に対し車両の左右を表すときに海側、山側という。この家は、感覚的には、山側にあるようだ。北沢川左岸かもしれない。
「坂道を駅へ下っていく」という記述がある。坂があれば、当然下った先には水路がある。線路は東西方向に走っている。その駅を中心にして凹みがある。後で出てくるがその北のり面には高射砲陣地があったようだ。
流転、変転、仕合わせだった時代も、戦争によって激変する。彼女は故郷山形に帰って、徴用工として働く。「十年ぶりに帰ってみたら山形は『航空産業の県』になっていた」、そしてなんと彼女は、「毎日毎日、木製のプロペラを磨」いていた。
（二）
飛行機工場の工場長は絶叫するように言っていたという。
『幸いにして、わが県は山に囲まれ、ブナ材が豊富に採れる。このブナ材と山形県の技術力をもってすれば、優秀なる木製戦闘機の増産は疑うべくもない！』
木製飛行機は本当に作られていた。「キ115 『剣』」である。これは「第二次世界大戦末期に日本陸軍が開発した航空機であり、特攻兵器のひとつで」、終戦まで１０５機が製造された。（ウィキ）
いわゆる本土決戦に備えての手段である。鉄、ジュラルミンがなくなって最後はブナ材を用いた木製特攻飛行機を用いて、これに挑む。長野県でも言われていたことだ。作者はその点丁寧に調べている。
終戦末期において様々な兵器が開発されていた。大東亜決戦号だ。疎開学童、また、動員学徒たちは、兵隊たちから「最後の秘密兵器があるから日本は大丈夫だ」と聞かされていた。
今でこそ、そんなそんなこと信じていたのと人は言う。信じないのは少数だ。わらすが的思い、藁にもすがる思いを当時の人々は持っていた。８月１５日になって、あっさりと負けたとの放送があった。人々は信じられなかった。そういう時代を私達は生きて来た。
（三）
『小さなおうち』はどこにあるのだろう？。
手掛かりとなるこんな記述がある。「平井家の最寄り駅から東へ二駅行ったところにある小学校が、新設校のわりには評判がよくて、中学進学率もかなり高いとわかり、奥様はやっとぼっちゃんをそこに通わせること決め」たとある。郊外駅から二つ都心寄り。小田急線ではどこだろう？。まさか代澤国民学校ではあるまい。
飛行機工場の工場長は絶叫するように言っていたという。
『幸いにして、わが県は山に囲まれ、ブナ材が豊富に採れる。このブナ材と山形県の技術力をもってすれば、優秀なる木製戦闘機の増産は疑うべくもない！』
木製飛行機は本当に作られていた。「キ115 『剣』」である。これは「第二次世界大戦末期に日本陸軍が開発した航空機であり、特攻兵器のひとつで」、終戦まで１０５機が製造された。（ウィキ）
いわゆる本土決戦に備えての手段である。鉄、ジュラルミンがなくなって最後はブナ材を用いた木製特攻飛行機を用いて、これに挑む。長野県でも言われていたことだ。作者はその点丁寧に調べている。
終戦末期において様々な兵器が開発されていた。大東亜決戦号だ。疎開学童、また、動員学徒たちは、兵隊たちから「最後の秘密兵器があるから日本は大丈夫だ」と聞かされていた。
今でこそ、そんなそんなこと信じていたのと人は言う。信じないのは少数だ。わらすが的思い、藁にもすがる思いを当時の人々は持っていた。８月１５日になって、あっさりと負けたとの放送があった。人々は信じられなかった。そういう時代を私達は生きて来た。
（三）
『小さなおうち』はどこにあるのだろう？。
手掛かりとなるこんな記述がある。「平井家の最寄り駅から東へ二駅行ったところにある小学校が、新設校のわりには評判がよくて、中学進学率もかなり高いとわかり、奥様はやっとぼっちゃんをそこに通わせること決め」たとある。郊外駅から二つ都心寄り。小田急線ではどこだろう？。まさか代澤国民学校ではあるまい。
