2014年02月15日
下北沢X新聞(2503)〜駒沢高射砲陣地跡〜
観測史上例をみない大雪だ。驚くばかりの降雪、一度ばかりか二度目だ。地球規模の天候異変の元凶は地球温暖化にある。太平洋北部の海水温が下がらない。それに影響されてジェット気流が南下し北極の強烈な寒気を列島に呼び込んでいるようだ。
雪の降った夜は、暗くならない。淡いピンク色に雪が染まっていた。東京の夜の光を反射してのことに違いない。原発事故以来、節電が叫ばれた。が、今は前と同じように東京は明るくなった。
大雪、そして大雨、強烈台風、竜巻などひんぴんと起こるようになった。急激な変化である。これらをからしても人類は岐路にさしかかっていることは明白だ。調和的な生活、自然を破壊しないような生活スタイル、これをしなければ温暖化は一層に進行する。
今冬、寒い。が、自分の部屋の暖房は一度も点けていない。着込みに着込んでこうやってパソコンに入力している。自分だけ暖めてなんのためになるのか？そういう疑問を持っているからだ。
（一）
今日近代は歴史を粉砕して過ぎていく。街のその場所に何があったのか、すべてが忘れ去られつつある。先だっては上馬二丁目を、かつてあったという「うなり石」を尋ねていった。が、それは見つからず、代わりに発見したのは、二・二六事件の首謀者の旧居であった。これとても記録しておくべきことだ。
高射砲陣地については、荏原近隣、あちこちと尋ね歩いたことがある。その旧跡を探し当てたところもあるが、見つからなかった場合の方が多い。
今回、意外なことから高射砲陣地の跡がみつかった。これまでの経験から分かっていることがある。資料にある記述からその痕跡を見つけ出すことは困難であるということだ。当事者、その現物を見たという人の証言ほど確かなものはない。
下北沢文士町の作家旧居探しでこれは分かった。「〇〇さんは俺の貸家に住んでいた」と直に当事者が教えてくれる。確実な証拠だ。
駒沢高射砲陣地跡も、意外な展開で見つかった。『鉛筆部隊と特攻隊』を端緒とする調査からである。松本淺間温泉に疎開していた学校のことの調べから分かったことだ。
松本淺間温泉には世田谷から七校の学校が疎開していた。調べてみるとほとんどの学校が特攻兵と何らかの形でふれ合っていた。残るは太子堂国民学校と東京第一師範国民学校だけである。太子堂小学校には赴いて副校長に卒業生の紹介を依頼したが、調べますと言われ待っていたが梨の礫だ。学校の歴史に関心がないようだ。
残ったのは東京第一師範である。官設学校と地域学校では実情が異なる。情報を得るのは難しい。が、先だって現在の学大附属高を尋ねたところ、ここの副校長は親切に対応してくれた。現今敷地西端に東京第一師範附属国民学校はあったと教わった。
（二）
私の一連の著作に触れた大槻統さんは出版社に連絡を取ってこられた。彼はこの東京第一師範附属国民学校に通っておられた。駒沢国民学校からの転校生で当初は、残留部隊として下馬に通っておられたという。メールの一端にはこうある。
生まれながらにして軍国教育を受けてきた当時１０歳前後の子供たちは知識も判断力もなく、ただただ日本の勝利を信じていました。我々のクラスは「青空特攻隊」と呼ばれていました。
小さな事実だが、記録としては取っておくべきことだ。時代は、軍事一色に染まっていた。いわゆる皇民化教育のもとに彼は育った。
その大槻さんから二月十日に資料が届いた。この中に、駒沢高射砲陣地跡の情報が入っていた。地図が入っていてその箇所がマーカーで蛍光色に塗られていた。私は、この午後に世田谷区生涯大学での公開文化講演会を控えていた。そこへは歩いて行くつもりだった。ところが、なんとまあちょうどそのコースの途中そこはあった。
先に『小さいおうち』はどこにあったか？推理していたときに本文中に、家の向かい側に高射砲陣地があったと記されていた。これを見て直感的に、丘の砲は北のり面にあったに相違ないと思った。
Ｂ２９は南から富士山を目ざして北上し、ここを回り込んで一万メートル上空のジェット気流にに乗って首都に侵入してきた。世田谷北部を西から東へと飛んでいく。そこを狙うには丘の北のり面が都合がいい。
蛍光色で塗られたその箇所の地形は知っている。まさにドンピシャリ、北のり面だ。下ったところに川が流れている。蛇崩川の支流である。
いやはやなんともだ。昨年若くして亡くなった中川さんの住んでいたマンションのはす向かいに当たる。
（三）
大槻さんは、「今ではぎっしり住宅が建ち並び昔の面影はまったくありません。史跡を示すような案内版があるのか否かも分かりません。時代も風景もすっかり変わりましたね。」と記しておられる。
「高射砲陣地跡」などと記された看板は残念ながら区内にはない。ここも同じだ。地方の行政単位で戦争遺跡への意識はだいぶことなる。調布市はこの調べが行き届いている。いつだったか手に入れた戦跡地図には、高射砲陣地跡、そればかりか照空灯陣地跡まで描き込まれていて驚いたことがある。
戦争遺跡は、どんどんなくなる。先だっての街歩きで、駒場東邦中高の南端を通り掛かった。コンクリート製の建物に覆いがしてあった。唯一現存する、戦時中の屋内射撃場である。これも近々壊されるようだ。（写真）
◎行事延期のお知らせ
第９２回都市物語を歩く
世田谷線の勾配を歩く
ナビゲーター 木村康伸さん
２月２２日（土）
京王下高井戸駅前1３時集合
会費 ３００円
申し込み aoisigunal@hotmail.com
世田谷線の勾配を観察しながら下高井戸から三軒茶屋まで歩くぶらぶらと歩いて電車ウオッチ。明日１５日は悪天候が予想されるので、２２日に（延期した）。時間のある方は、ぜひおいでください。
私の一連の著作に触れた大槻統さんは出版社に連絡を取ってこられた。彼はこの東京第一師範附属国民学校に通っておられた。駒沢国民学校からの転校生で当初は、残留部隊として下馬に通っておられたという。メールの一端にはこうある。
生まれながらにして軍国教育を受けてきた当時１０歳前後の子供たちは知識も判断力もなく、ただただ日本の勝利を信じていました。我々のクラスは「青空特攻隊」と呼ばれていました。
小さな事実だが、記録としては取っておくべきことだ。時代は、軍事一色に染まっていた。いわゆる皇民化教育のもとに彼は育った。
その大槻さんから二月十日に資料が届いた。この中に、駒沢高射砲陣地跡の情報が入っていた。地図が入っていてその箇所がマーカーで蛍光色に塗られていた。私は、この午後に世田谷区生涯大学での公開文化講演会を控えていた。そこへは歩いて行くつもりだった。ところが、なんとまあちょうどそのコースの途中そこはあった。
先に『小さいおうち』はどこにあったか？推理していたときに本文中に、家の向かい側に高射砲陣地があったと記されていた。これを見て直感的に、丘の砲は北のり面にあったに相違ないと思った。
Ｂ２９は南から富士山を目ざして北上し、ここを回り込んで一万メートル上空のジェット気流にに乗って首都に侵入してきた。世田谷北部を西から東へと飛んでいく。そこを狙うには丘の北のり面が都合がいい。
蛍光色で塗られたその箇所の地形は知っている。まさにドンピシャリ、北のり面だ。下ったところに川が流れている。蛇崩川の支流である。
いやはやなんともだ。昨年若くして亡くなった中川さんの住んでいたマンションのはす向かいに当たる。
（三）
大槻さんは、「今ではぎっしり住宅が建ち並び昔の面影はまったくありません。史跡を示すような案内版があるのか否かも分かりません。時代も風景もすっかり変わりましたね。」と記しておられる。
「高射砲陣地跡」などと記された看板は残念ながら区内にはない。ここも同じだ。地方の行政単位で戦争遺跡への意識はだいぶことなる。調布市はこの調べが行き届いている。いつだったか手に入れた戦跡地図には、高射砲陣地跡、そればかりか照空灯陣地跡まで描き込まれていて驚いたことがある。
戦争遺跡は、どんどんなくなる。先だっての街歩きで、駒場東邦中高の南端を通り掛かった。コンクリート製の建物に覆いがしてあった。唯一現存する、戦時中の屋内射撃場である。これも近々壊されるようだ。（写真）
◎行事延期のお知らせ
第９２回都市物語を歩く
世田谷線の勾配を歩く
ナビゲーター 木村康伸さん
２月２２日（土）
京王下高井戸駅前1３時集合
会費 ３００円
申し込み aoisigunal@hotmail.com
世田谷線の勾配を観察しながら下高井戸から三軒茶屋まで歩くぶらぶらと歩いて電車ウオッチ。明日１５日は悪天候が予想されるので、２２日に（延期した）。時間のある方は、ぜひおいでください。
