2014年02月18日
下北沢X新聞(2505)〜駒沢高射砲陣地跡３〜
（一）
「高射砲陣地、そんなの知るわけはない！」
駒沢公園のベンチ掛けていたご老体の一人の返答だ」
「高射砲陣地？俺は知っているよ」
もう一人が応えた。
「えっ、知っているのですか！」
昨日、再度、陣地跡をフィールドワークした。このとき古老に会えば聞いてみようと思った。ところが知っていそうだど思われる人には誰も出会わない。
「ここにね、高射砲陣地があったんだ、ほら、ここの北の方の空を西から東にかけてＢ２９が飛んで行くんだ、それに向かって大砲を撃ったんだよ」
陣地跡の四つ角にいた警備員に話をした。
「そんな、戦争なんか、知らないっすよ！」
若いあんちゃんは戸惑っていた。
戦争は私も知らない。しかし、歴史文化を知ろうとすると必ずこれにぶつかる。今日現代のことがすべてこれに繋がっている。人々にとってはとんでもなく激烈な経験だった。
しかし、今、戦争痕跡全く何もない。歴史時間というのはあらゆるすべてを呑み込んで消し去るものだと痛感した。が、破壊されても人の記憶には残っているものだ。
収穫なく帰ろうとしたときだ。駒沢公園を通り掛かった。ここにたむろしていた古老連に聞いてみてその記憶に遭遇したのだ。
「あれが撃ち始めるともう授業にならなかったね、弾を撃つたびに凄い音がしてね、学校の窓ガラスがびりびり震えるんだよ。しかし、撃っても撃っても当たらなかったね」
駒沢国民学校に通っていたという彼は、当時六年生だった。この学校のはす向かい、北西がその場所に当たる。
「高射砲は何門ぐらいありました？」
「そんなのまで覚えているわけはないよ！」
（二）
高射砲陣地跡のことを教えていただいたのは大槻統さんである。彼にも何門ぐらあったかを問い合わせていた。するとこんな回答があった。
残念ながら駒沢高射砲陣地に何門の高射砲があったかは見当がつきません。
戦後に再び畑に戻った時、先日も述べましたが砲の据付架台やそれを囲んだ砲弾薬庫のようなものが散見できましたので数門〜十門（？）は在ったのではないかと想像します。これは全くの想像ですので無視して下さい。
絵日記に高射砲陣地を描いたような記憶がありましたので調べてみました。絵日記は全部揃ってなく見つかりませんでした。が、学校から写生に行った時に描いた駒沢女学校の絵（校舎と水道塔の一部）があり、その絵の裏側に高射砲陣地を写生した絵がありました。この絵が正に記憶にあったものです。よって女学校の説明が裏にある妙な組合せですが、女学校と高射砲陣地はすぐ近くですので同じ日の帰りに描いたものかもしれません。
下手な絵ですが御参考までに添付します。
この絵は駒沢国民学校2年生の頃のものと思われますので、昭和18年の春頃かと
思います。銃を持った歩哨兵の左側の黒い構築物が砲弾薬庫です。
当時は未だ空襲が始まっておらず、棒のようなものに紐でつるした模型飛行機
を目標に砲の操作訓練をやっていたことはよく覚えております。
大槻さん、国民学校時代絵日記を書き続けていた。これが偶然、劇的なドラマの一端を捉えてもいた。武剋隊、後半出撃組の一機がとある女児にお別れに来ていた。淺間温泉で急降下するそれを写した絵だろうと私は確信している。
（三）
過去の事実を記したメールである。記述にある水道塔は、世田谷区地域風景資産にもなっている駒沢給水塔である。この東隣に駒沢女学校があった。駒沢女子短期大学である。が、この学校は今は、稲城市に移転してしまった。跡地にはマンションが建っている。
高射砲陣地では、模型飛行機を敵機に見たて砲の操作訓練を行っていたという。
〇上の写真は、駒沢女学園のあったところの原に弾薬庫があり、歩哨が立っている。期日は昭和十八年四月十七日、貴重な絵日記である。下、駒沢二丁目三番の路地脇にある庚申塔、並行して走っている道が品川用水跡、右向こうの路地が品川道と思われる道だ。
高射砲陣地はどこにあったのか？
荏原地域でこの陣地を具体的にご存じの方は、ぜひご教示ください。
この記事へのコメント
1. Posted by ベック 2014年02月21日 12:00
昨日、駒沢給水塔保存会の月例幹事会があり参加してきたのですが、幹事の中に、向井順吉美術館の近くに戦前からお住まいのＹさんがいらっしゃいます。会議が終わってから駒沢高射砲陣地跡についてＹさんからご教示頂きましたので簡単に記します。
場所は、現在の住居表示： 世田谷区駒沢２−２０（ブログに書かれている１９番地とは、一区画北側になります。）
戦後開設された、駒沢公園通りにヤマ動物病院がありますが、その一角に、直径３０m程丸い陣地に高射砲が一基据付けられていたそうです。
当時小学生のＹさんは、東京大空襲の前にその高射砲陣地を見たそうです。程なく学徒疎開で信州に疎開して、２１年の秋に東京に戻って来た時には、高射砲は既に撤去されていたそうです。
東京に残っていた、Ｙさんの父さんの話では、その高射砲は、Ｂ２９には全く命中しなかったそうです。
場所は、現在の住居表示： 世田谷区駒沢２−２０（ブログに書かれている１９番地とは、一区画北側になります。）
戦後開設された、駒沢公園通りにヤマ動物病院がありますが、その一角に、直径３０m程丸い陣地に高射砲が一基据付けられていたそうです。
当時小学生のＹさんは、東京大空襲の前にその高射砲陣地を見たそうです。程なく学徒疎開で信州に疎開して、２１年の秋に東京に戻って来た時には、高射砲は既に撤去されていたそうです。
東京に残っていた、Ｙさんの父さんの話では、その高射砲は、Ｂ２９には全く命中しなかったそうです。
