2014年10月20日

下北沢X物語(2667)〜都鄙境の秘境探検京王線〜

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(一)
 都鄙境ほど面白いものはない。ここに誰にも知られていない物語が潜んでいる。ありとあらゆる歴史が埋まっている。戦争史、文化史、文学史、音楽史、何でもござれだ。

 面白いと感ずるのは時間の落差だ。都市時間と田園時間の境目がくっきりしている。そこに歴史が潜んでいる。

 今抒情詩人論をまとめている。島崎藤村、萩原朔太郎、北原白秋、三好達治は日本では超一級の抒情詩人だ。このうち萩原朔太郎と三好達治は世田谷代田で終焉を迎えている。それはなぜなのか?。これを地域文化的観点で考えると面白く、かつ楽しい。

 一回こっきりの人生、大切なことは、面白がって生きることだ。

 抒情詩人代田終焉は、やはり都市境の秘められた物語だ。来月、三好達治文学顕彰碑を北沢川緑道鎌倉橋たもとに建てる。これに向けて北沢川文化遺産保存の会紀要第三号をまとめている。

 文化とは土地固有のものをみつけて楽しむことだ。紀要もまさにそうだ。第一号は、「代田の丘の鉄塔文学論」、第二号は「北沢の丘の石畳文学論」だ。第三号もこの延長にあるものだ。「代田小路の微傾斜文学論」である。地形愛好家にとっては魅力的だ。しかし、このところこの表題は文学性に欠けると思い始めた。

 調べ調べして分かってくることはある。「微傾斜文学論」よりも「隠棲文学論」、「寓居文学論」、「流寓文学論」の方がいいのではないかと思ってきた。

 要諦は何か、世田谷代田の都鄙境に安息の地を見つけて居住し、飛来してくる小鳥と対話しながら独自の詩境を切り開いたことだ。老境の抒情だ。

 当地には多くの小鳥が飛来してきている。代田七人衆の森、大場の森、秋元の森があったらばこそだ。我ら文化遺産の会の誇るべき視点であり、観点である。



(二)
 都鄙境の本質は何か。国木田独歩時代は、これが目に見えていた。雑木林の中に牧場があって、その隣には別荘風の赤い三角屋根がある。ところが今は視覚的にこれを見出すことは困難だ。特徴が微細だ。つい先だって特番都市歩きで川向こうに出張った。川崎だ。側溝の蓋が心持ちずれている。ガードマンの制服に微妙に皺がある。道をゆくおばさんのサンダルの音が緩い。ここに川向こう的な田園ローカルを見出したものだ。

 土曜日のことだ。都鄙境を巡る街歩き第99回目を実施した。「京王線高架予定区間を歩く」だ。沿線人口が増え、その分、電車のダイヤが過密になってきて踏切がほとんど閉まってしまうようになった。この問題を解消するために線路の高架化が決まった。笹塚から仙川までの7,2キロの間だ。完成すればこの間にある踏切が一気になくなる。駅風景も線路風景も一変するだろうということで歩くことにした。

 しかし、この旅、鉄道線路の探訪が主目的だが、「鉄よりもお山」、富士に始まり、富士に終わった。都鄙物語のドラマである。

 代田橋が起点だった。が、隣り駅の明大前に着く前に、「松原のお富士さん」で引っ掛かってしまった。このコースを歩くに当たって、数日前から話題になっていたようだ。
富士講の本部、「神道扶桑教大教庁」が京王線の側にあることから、ここをぜひ訪れてみたいとのことだった。

(三)
 京王線の特徴は、踏切にある。電車通過を待っていると、遮断棒のすぐ目の前すれすれに電車が通過していく。頬にモーターの熱を感じるほどだ。軌道幅が狭い、なぜこうなのか。理由は簡単だ。

 私が子供だったその頃、京王電車は一輛で走っていた。それも運転台が吹き抜けの市電形の車輛であり、ステーションは低く乗る時も降りる時も一段タラップを踏まなくてはならなかった。市電と違うのはあちらが緑と黄色の色分けをしていたのに対して、京王線が焦げ茶色をしていたことだ。ギシギシと音をたてて揺れる木製の電車が走っているのを見ているだけで一生懸命さが感じられ親しみのある形だった。クレヨンで描く画にもなり易かった懐かしい思い出の電車だった。
 『戦争中の中学3年生』 日本中学校 昭和21・22 同期会編集委員会


 この文章を書いたのは、詩人福田正夫の御子息福田達夫さんだ。笹塚駅そばに住んでいた。単線をゆくちんちん電車だった。(写真は、下高井戸駅方向を撮ったもの)

〇三好達治文学顕彰碑

 デザイン担当の道吉剛氏と字配りの具合についてまだ校正を続けている。行の文末が「一六」で終わるのは駄目、美的観点から許せないことだと。それで文言を工夫し、ようやく第14次案で完成をみた。


〇下北沢駅構内の地下道

 仲間の米澤邦頼さんからメール。今日のことだ。「先程、下北沢ピーコック前まで行きました。小田急線工事現場を覗いてみたら、『下北澤駅地下通路入口』らしき遺構が見えました。井の頭線線路下にも通路跡らしきものがありました。」と。その写真である。
小田急下北沢地下通路
井の頭線線路下



rail777 at 20:00│Comments(0)││学術&芸術 | 都市文化

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