2016年12月01日
下北沢Ｘ物語(3169）〜創立１２周年＆大月文子おばあちゃん�供�
（一）「おばあちゃんがいたお陰で近代戦争史の隠れた話を見つけることができたんだよ」そう言っても理解してもらえないかもしれない。おばあちゃんの人脈ルートで多くの人を知った。まずは今井兼介さんである。父親は著名な建築家今井兼次氏である。謙介さんは父親譲りなのか文化を熱く語る人だ。その今井さんお隣の篠山さんの家は俳人の中村草田男に家を貸していて家賃控え帳が残っている。それには大勢の有名人の自筆サインがあると。それをぜひ見たいということでお宅にお邪魔した。その時に「うちの妹は浅間温泉富貴の湯に疎開していて特攻隊と一緒になった」との話だった。最初から特攻隊の話を調べていたわけではない、偶然このことを知ったのだ。浅間温泉には世田谷から七校、二千五百名ほどの学童がここに疎開していた。昭和二十年二月ごろから急にここに航空機乗組員が増えてきた。沖縄戦を控えて当地飛行場に数多くの特攻機が飛来してきていた。富貴の湯に滞在していた兵も特攻要員である。ここに疎開していたのは東大原国民学校の学童である。当時のことが聞きたいと、この旅館にいた人をずっと探していた。ところが、篠山さんのお宅に伺って容易にその情報が得られた。
篠山さんの紹介で下馬の妹さん、太田幸子さんのところに伺った。すると一枚の写真を見せられた。それは特攻兵と疎開学童とが一緒になって写っている写真だった。
この写真は今では歴史的な写真となった。博物館のパンフレットになったり、テレビで紹介されたりもした。世田谷の疎開学童と特攻隊との交流を表す象徴的写真となった。
実はこの写真、どういうものなのかは分からなかった。が、先月、松本まで行って関係者に会って取材した。飛行帽をかぶって女の子を抱いているのは飯沼芳雄伍長だということが分かった。彼の妹さんが教えてくれたのだ。これで分かったことは東大原小の学童と一緒に写っているのはどうやら武揚隊隊員だということが…。
（二）
おかしな話だ、下北沢での機縁を通してどんどんとこの話の真相が分かっていく。先月には、武揚隊の隊長の末裔の山本家の皆さん、ご夫婦と娘さん息子さんが上京された。この四人を下北沢文士町に案内したことだ。最後は事務局の邪宗門に着いてもってきてくださった資料を受け取った。手紙、書類、手記などである。これの分析をしていることだ。
松本浅間温泉に疎開していた学童と特攻隊の兵士達が出会うに至ったのは機種機縁だと言った。つまり乗機は九九式襲撃機であることだ。これが因縁を作ったらしい。
しかし、ただ松本に飛んで来たからその乗員が学童と出会ったのでもない。くるべくしてきたのではないか。と思えてきた。
この飛行機は軽爆という部類に入るものだった。航空機操縦に携わる場合、学校を卒業するとそれぞれ適性に応じて四つに分けられた。戦闘機、軽爆、重爆、通信だ。武揚隊の山本薫中尉、武剋隊の広森達郎中尉は、陸軍航空士官学校を出た。共に五六期生である。振り分けられたのが軽爆である。これは鉾田陸軍飛行学校の原ノ町分教所で訓練がなされた。その機種は、九九式襲撃機である。このことからして二人ともこの機に乗る運命にあったのだと知った。また松本に飛んで行く理由もこの機種だからといえる。三菱重工業製である。この辺りのところは面白い。ドラマが潜む。
武揚隊の行方を今また追うことになった。この話第三荏原がらみである。今井兼介さん、大月さん、そして太田幸子さん、みな東大原小だ。しかし、この学校名前がなくなった。今は下北沢小学校である。
（三）
大月のおばちゃんに話は戻そう。
萩原朔太郎の下北沢の家も長い間分からなかった。すなわち、「下北沢新屋敷一００八番地」だ、これも探し出してきてくれたのも大月文子さんだった。
この十二年間は、まさにドラマである、多くの人との出会いは大きい。今回、古い写真を掲示したが下北沢のことをよく知っていたのは、富安好恵さんだった。ともにおばちゃんを含めて記念写真におさまっていた。彼女、富安さんももう亡くなってしまった。
が、時代は変わっていく。萩原朔太郎が煙草「敷島」を買った鈴蘭堂もなくなり、彼が常日頃手紙葉書を投函していた北沢局のポストもなくなった。おばちゃんは今はディサービスに通っていると聞いている。
おかしな話だ、下北沢での機縁を通してどんどんとこの話の真相が分かっていく。先月には、武揚隊の隊長の末裔の山本家の皆さん、ご夫婦と娘さん息子さんが上京された。この四人を下北沢文士町に案内したことだ。最後は事務局の邪宗門に着いてもってきてくださった資料を受け取った。手紙、書類、手記などである。これの分析をしていることだ。
松本浅間温泉に疎開していた学童と特攻隊の兵士達が出会うに至ったのは機種機縁だと言った。つまり乗機は九九式襲撃機であることだ。これが因縁を作ったらしい。
しかし、ただ松本に飛んで来たからその乗員が学童と出会ったのでもない。くるべくしてきたのではないか。と思えてきた。
この飛行機は軽爆という部類に入るものだった。航空機操縦に携わる場合、学校を卒業するとそれぞれ適性に応じて四つに分けられた。戦闘機、軽爆、重爆、通信だ。武揚隊の山本薫中尉、武剋隊の広森達郎中尉は、陸軍航空士官学校を出た。共に五六期生である。振り分けられたのが軽爆である。これは鉾田陸軍飛行学校の原ノ町分教所で訓練がなされた。その機種は、九九式襲撃機である。このことからして二人ともこの機に乗る運命にあったのだと知った。また松本に飛んで行く理由もこの機種だからといえる。三菱重工業製である。この辺りのところは面白い。ドラマが潜む。
武揚隊の行方を今また追うことになった。この話第三荏原がらみである。今井兼介さん、大月さん、そして太田幸子さん、みな東大原小だ。しかし、この学校名前がなくなった。今は下北沢小学校である。
（三）
大月のおばちゃんに話は戻そう。
萩原朔太郎の下北沢の家も長い間分からなかった。すなわち、「下北沢新屋敷一００八番地」だ、これも探し出してきてくれたのも大月文子さんだった。
この十二年間は、まさにドラマである、多くの人との出会いは大きい。今回、古い写真を掲示したが下北沢のことをよく知っていたのは、富安好恵さんだった。ともにおばちゃんを含めて記念写真におさまっていた。彼女、富安さんももう亡くなってしまった。
が、時代は変わっていく。萩原朔太郎が煙草「敷島」を買った鈴蘭堂もなくなり、彼が常日頃手紙葉書を投函していた北沢局のポストもなくなった。おばちゃんは今はディサービスに通っていると聞いている。
