2017年09月09日

下北沢X物語(3357)―鉾田陸軍飛行学校原ノ町分教場へ2―

DSCN0081(一)偶然に「鉛筆部隊と特攻隊」の話に行き会った。当ブログに飛び込んできたコメントが発端だ。確認すると「2007年12月14日」だった、もう丸々十年近く追い続けている。今になって分かってみると機と時とが偶然に重なったことで生まれた話だと思う。言えば機の熟成だ。とくに航空兵にとっては大事なものである。昭和十八年陸軍航空士官学校卒業した陸士五六期生は進振りで四つに分けられた。同年六月四日、鉾田陸軍飛行学校原ノ町分教場に入校してきたのは軽爆に振り分けられた三十名である。実はこのほとんどが特攻で戦死している。戦争に間に合ったから死んだと言える。

 飛行機乗りにとって大事なのは練度である、どのくらい飛行機に乗ったかということが腕前と直結する。沖縄航空作戦は昭和二十年三月に始まる、飛行操縦の練度が特攻作戦と合致したことから選ばれたとも言える。多くの特攻戦死者を出したのはいわゆる航養一四期組である。武剋隊、武揚隊の伍長や軍曹のほとんどはこの組である。彼らは昭和十八年九月に逓信省航空局 航空機乗員養成所に入所している。そして、昭和十九年七月に卒業している。軍部からすれば使える頃合いの球だったといえる。それで多くが特別攻撃隊の隊員に選ばれた。

 「原町戦没航空兵の記録」(白帝社 1998年)では当地、原町での「陸士五六期生」の事績をまとめている。

 昭和十八年五月二十六日、航空士官学校を卒業し、襲撃班の実施学校である鉾田陸軍飛行学校原町分教場に入校したものは三○名、さらに転科学生が四名いた。
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 三十四名、その彼らが教育を受けたという旧軍飛行場に行ってみたい。
「昔の、原ノ町の旧陸軍飛行場の跡地へ行きたいのですが分かりますか、ほら格納庫のコンクリートの擁壁が残っているじゃないですか?」
 駅前に停まっていたタクシーの運転手に聞いた。
「飛行場の跡ですか?」
 彼はピンとこないらしい。
「まず今も残っているという正門跡に行きたいのですよ」
「あったかなあ?」
 持ってきた地図を示すが心許ない。年の頃は三四十代である。
「あっ、知っている人来ました」
 後ろにもう一台のタクシーが着いた。年配の運転手だ。
「陸軍飛行場ってわかりますか?」
「ああ」


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(二)
 結局は後から来たタクシーに乗った。
「飛行場の跡を訪ねてくる人はいないね」
 長年当地で運転手をやっている人だった。
「そうですか、正門跡に行ってほしいのですが、その前に陣ケ崎公園墓地に寄ってほしいのですよ。戦没者慰霊碑がありますね」
「ああ、あそこはね、今工事やっているんだ、適当なところで車を止めるから歩いて登るといいよ」
 自分のイメージでは公園墓地はフラットなところだと思っていたらそうではない。丘上にあることが分かった。彼は細い道に入ってどんずまりで車を止めた。
「前の階段を上って、上についたら右にいく、すぐにわかるよ」
 四五十段ぐらい階段を上ると墓地になっていた。右手に行くと確かにあった、特攻兵像を真ん中に左右に慰霊碑と英霊芳名碑とがあった。
 行ってわかった、なぜに慰霊碑をここに建てたのか?原ノ町飛行場は、雲雀ヶ原に作られた。その飛行場跡地が見晴らせる場所だった。天気もよくて青空のもとに旧軍飛行場は眼下にずっと広がっていた。

 英霊芳名碑を見ると、広森、山本の両隊長の名が刻んであった。
 先の「原町戦没航空兵の記録」にはこうあった。陸士五十六期の顛末だ。

 入校者三四名中、戦死者は三○名で、生存わずか四名にすぎない。生存率10パーセントという非情な数値は、消耗率のはなはだしい航空兵科の宿命ともいい得るものの、中でも最も激烈な戦火の中に身を投じた人々であった。
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(三)
 陸士五十六期、襲撃班について「記録」には、戦争末期自滅しつつあった陸軍「その戦勢を挽回できるのは彼らしかいないと信じて勇躍第一線に赴任したのだった」と結ぶ。五十六期生は二千四百名いた。その中での三十数名だ。襲撃隊員には選ばれたという意識が強くあった。今回、山本家から多くの資料を得たが、隊長は、随所で誇りを語っていた。

 満州新京で発足した特攻四隊のうち二隊が、武揚隊であり、武剋隊だ。これらの隊は大本営直属部隊で、扱いは別格であった。隊長もまた強い強い誇りを持っていた。

 もうこれらの話は72年前のことだ、それでも地域の人は忘れないでいようとする。毎年慰霊祭を行っているとのことだ。
(上、正門跡、「元原町陸軍飛行場正門」と記されている、覚えのために後で作ったもののようだ。上の下、慰霊碑の芳名版、下の上 正門のある通り、下の下JR浪江駅)


rail777 at 20:00│Comments(0)││学術&芸術 | 都市文化

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