2019年01月17日
下北沢Ｘ物語(3685)−文士町文化地図：各版比較考察２−
（一）文化地図の発行年月は初版、２００６年１２月、７版は２０１７年３月だ。１１年が経過している。この間に大きな変化があった。当該地域の文化の起爆力となった小田急線の地下化である。地表線から地下線へ変貌し町の風景が一変する。その締めくくりに参画する。２０２０年春に世田谷代田駅の広場が完成する。ここに念願のダイダラボッチの足跡をかたどったモザイク模様が描かれる。この開場を記念して地元では盛大なイベントを計画している。我らの会もこの行事に連動して二つのイベントを予定している。一つは「世田谷代田の歴史と文化」をテーマとした研究大会の開催だ。これは当会が毎年計画しているもので今回は第五回となる。開催日は、今年７月２７日で、会場は「梅丘パークホール」だ。もう一つは、広場オープン記念として「下北沢文士町文化地図」第８版を発行し、イベントに参加された人々への配布をする。これらに向けてすでに準備会が発足している。
さて、文化地図の考察だ。初版から７版までの間に都市の変貌と発展があった。初版においては都市論の一端が述べられる。A面の２ページでは、「�供＿舎迷�X交点周辺文化」として記述されている。冒頭文に続く第二と第三段落ではこう述べている。（筆者 きむらけん）
教会や文士の参集の根本にあるものは同じである。例として教会、文士を取り上げたが、実は他の分野も多く集まっている。文化分野では画家、映画監督、俳優など数限りなく居住している。政治、経済、学術の分野についても同じである。
下北沢周辺に様々な価値を呼び寄せたのは鉄道である。農業を中心として営んでいた地域、新屋敷に鉄道が敷かれた。小田原急行鉄道は昭和２年に、帝都電鉄は昭和８年に敷設された。下北沢でその二つの線路がクロスしたことは大きい。地図上にその痕跡を残しているが特異な形状である。作家の清水博子は「街の座標」でこのXを「ひしゃげた座標軸」と形容している。巧みな比喩である。そのゆがみやねじれは極めて人間的だ。近代の屈折ともいえる。
（二）
＊考察��
当地には、多くのジャンル、文学、詩歌、芸術、学術などが集まってきていた。そのことは調べてみての結果である、あれもこれも気づかぬうちに参集してきていた。一部には徒党を組んだという点がないわけではない、しかし、気づいてみると自然と多く集まってきていた。その例としては教会がある。
価値参集のポイントは鉄道のクロスであったことだ。人が行き来する上で利便性が高い。これが人を惹きつけた。
現在では、鉄道の中心であった小田急は地下化してしまった。この地図は「下北沢X交点」と形容しているがXという形の特異性が町の特徴を捉えていた。清水博子が形容した「ひしゃげた座標軸」は地表からも地図上からも消滅してしまった。このねじれやゆがみはシンボリックなものとしては重要だ、記憶、記録しておかなくてはならない都市論だ。
２０１８年に我々は、Dr.オースティンが撮った下北沢の写真を発行した。「焼け残ったまち 下北沢戦後アルバム」である。焼け残りの町であったらばこそカメラアイが向けられた。一外国人の興味を深く惹きつけた。
�兇痢峅舎迷�X交点周辺文化」の末尾では「焼け残ったまち」についてすでに言及している。
歴史的には、街の中心が戦火に遭わなかったことも大きい。他の焼けた町の代用的な機能を戦後は果たしていた。進駐米軍が駐留したワシントンハイツも近く、近隣には米軍接収家屋が多くあった。進駐軍PXからの流出品も豊富であった。それらアメリカ文化にも大きな影響を受けている。鉄道クロスにはクルス、クロイツ、アメリカなど様々な文化がふきだまってきていた。
ここでいう「クロイツ」は、ハーケンクロイツである。昭和１５年にヒットラーユーゲントの青年６人が、下北沢店員道場を視察に来た。このときの鮮明な写真が残っていた。小宮東男さんのお父さんが撮ったものだ。文化地図６版では道場前でナチス式敬礼をする六人の姿を掲載した。
毎年、桜祭りには地図を配っている。この頃では外国人が大勢通り掛かるようになった。一人のカナダ人から「ヒットラーを象徴するようなこんな写真は絶対に掲げてはならぬ」と強い抗議を受けたことがある。西欧人のヒットラーに対する強烈な敵意を知ったことだ。来日外国人の姿が下北沢文士町界隈でよく見られるようになった。
（三）
新年になって事務局の邪宗門に行ったところ、ノートには英語、中国語、韓国語で感想が綴られていた。
２０１３年に我々は北沢川緑道に「横光利一文学顕彰碑」を建てた。このときにデザイナーの道吉剛氏は英文での表示を提案された。これが碑文に収められている。何人の外国人が読んだだろうか。
ウィキペディアには「北沢川文化遺産保存の会」紹介がある、米Googleで引くと出てくる。ここで記事のすべてが翻訳できる。会の名前はつぎのようになる。
Kitazawa River Cultural Heritage Preservation Association
今後、第８版を発行していくことになるが、会名は英語表記でも表すべきか？。
（掲出地図は、初版）
＊考察��
当地には、多くのジャンル、文学、詩歌、芸術、学術などが集まってきていた。そのことは調べてみての結果である、あれもこれも気づかぬうちに参集してきていた。一部には徒党を組んだという点がないわけではない、しかし、気づいてみると自然と多く集まってきていた。その例としては教会がある。
価値参集のポイントは鉄道のクロスであったことだ。人が行き来する上で利便性が高い。これが人を惹きつけた。
現在では、鉄道の中心であった小田急は地下化してしまった。この地図は「下北沢X交点」と形容しているがXという形の特異性が町の特徴を捉えていた。清水博子が形容した「ひしゃげた座標軸」は地表からも地図上からも消滅してしまった。このねじれやゆがみはシンボリックなものとしては重要だ、記憶、記録しておかなくてはならない都市論だ。
２０１８年に我々は、Dr.オースティンが撮った下北沢の写真を発行した。「焼け残ったまち 下北沢戦後アルバム」である。焼け残りの町であったらばこそカメラアイが向けられた。一外国人の興味を深く惹きつけた。
�兇痢峅舎迷�X交点周辺文化」の末尾では「焼け残ったまち」についてすでに言及している。
歴史的には、街の中心が戦火に遭わなかったことも大きい。他の焼けた町の代用的な機能を戦後は果たしていた。進駐米軍が駐留したワシントンハイツも近く、近隣には米軍接収家屋が多くあった。進駐軍PXからの流出品も豊富であった。それらアメリカ文化にも大きな影響を受けている。鉄道クロスにはクルス、クロイツ、アメリカなど様々な文化がふきだまってきていた。
ここでいう「クロイツ」は、ハーケンクロイツである。昭和１５年にヒットラーユーゲントの青年６人が、下北沢店員道場を視察に来た。このときの鮮明な写真が残っていた。小宮東男さんのお父さんが撮ったものだ。文化地図６版では道場前でナチス式敬礼をする六人の姿を掲載した。
毎年、桜祭りには地図を配っている。この頃では外国人が大勢通り掛かるようになった。一人のカナダ人から「ヒットラーを象徴するようなこんな写真は絶対に掲げてはならぬ」と強い抗議を受けたことがある。西欧人のヒットラーに対する強烈な敵意を知ったことだ。来日外国人の姿が下北沢文士町界隈でよく見られるようになった。
（三）
新年になって事務局の邪宗門に行ったところ、ノートには英語、中国語、韓国語で感想が綴られていた。
２０１３年に我々は北沢川緑道に「横光利一文学顕彰碑」を建てた。このときにデザイナーの道吉剛氏は英文での表示を提案された。これが碑文に収められている。何人の外国人が読んだだろうか。
ウィキペディアには「北沢川文化遺産保存の会」紹介がある、米Googleで引くと出てくる。ここで記事のすべてが翻訳できる。会の名前はつぎのようになる。
Kitazawa River Cultural Heritage Preservation Association
今後、第８版を発行していくことになるが、会名は英語表記でも表すべきか？。
（掲出地図は、初版）
