2020年05月02日
下北沢Ｘ物語（3995）―後日談：子どもたちよ、作文を書こう―
（一）ネットでの発信は安直だ、記事をまとめて書いてクリックすれば事足りる。が、今回は現実空間での発信を試みた。「子どもたちよ、日記を書こう」という提案を居住地で
試みた。言わば、門前発信だ。こちらはクリック一つではできない。ポスターを作り、印刷物を刷り、これらを門に飾ってディスプレイする。慣れないことゆえ要領が分からない。実際風が強く、印刷物が風に飛ばされもした。それでも何とか用意は調った。これまで他地域での発信は行ってきた。今回は初めての地域デビューである。一番心配なのはこの発信が通ずるかである。門前に仰々しく貼ったはいいが、果たしてこれを持って行ってくれる人はいるのか？もしかして近所に恥をさらすのかもしれない。年甲斐もなくドキドキしたことである。
しかし、何と言ってもパンデミックは衝撃だった。あれよあれよという間に事態が切迫していく、大地震、大洪水、原発事故など、大災害を見聞はしてきた。が、これほどの衝撃は生まれてこの方初めてだ。時間に亀裂が走ったように思った。が、激変によって年を実感するものだと思った。
「光陰矢の如し」という、が、この諺はありきたりだ。一つ思い出す言葉がある。
「あのときは三十歳だったけど、気づくともう九十歳、恐ろしいものです」
聞き取りをしていたときにある人が言った。生々しい表現だ。時間が裂けたとき、思ったのは時間なるものの実感だ。
「俺も歳を取ったなあ」
この頃、自分は何をしてきたのかと考えることが多くなった。ふり返ると、
「書いて、書いて、書きまくってきたなあ」
という思いはある。今日の、ブログのエントリー数は３９９５だ、始まりは2004年08月31日だ。十六年間書き続けてきた。しかし、これだけではない。
手元に平成7年(1995)に発行された「子どもたちに聞かせたい創作童話」第17集がある。鹿児島市教育委員会が発行したものだ。ここに載った私の作品は「タヌキヌキヌキゴボウヌキ」という童話作品だ。童話賞に応募して採用されたものだ。
ブログを始める前は、私は、童話を書ていた。勤めの合間に時間のあるときは書いた。書くことで日々のストレスを解消していた。ふり返ってみると書くことによって自身が助けられた。
（二）
地域デビューの話だ。まず、これは29日に始めた。五冊をホッチキスで綴じて、紐で吊しておいた。夕方になって取り込もうとすると風に煽られて飛ばされて下に落ちていた。一冊一冊拾っていくが人が持って行った気配はない。が、最後に気づいた、確か五枚吊り下げたはずだが集めると四冊だった。
「ああ、誰か持っていったんだ！」
持っていったのはたった一冊だった。が、とても嬉しかった。ポスターにはこう記していた。
この冊子は五枚ほどのページ数があります。どうぞご自由に持って行ってください。お父さんやお母さんが持っていかれてこれを子どもに読んで聞かせてくださってもよいと思います。
子どもが持っていったのか、大人が持って行ったのか分からない。もしかしたら誰も持っていかないかもしれないと思っていた。それが一冊なくなっていた。私には心の灯火だった。
次の日は30日だ。この日は四冊がなくなった。やはり嬉しい。ネットでは手応えがない。しかし、現実リアルでは確かな手応えがある。現物そのものがなくなることで反応がじかに伝わってくる。
「あれ、童話作家なのですか？」
たまたま通り掛かった人が話し掛けてきた。冊子には、こう記していた。
子どもたちよ、日記を書こう……
キミのために
童話作家 きむらけん
提言を誰が書いたのか、分かりやすく伝わる方がいいだろうとこう書いていた。
（三）
家の門の前での掲示はしばらく続けるつもりだ。もう十数枚がなくなった。
非常事態宣言は、6日で終わらずにもっと長くなるようだ。子どもにとっては苦難の日々が続くことになる。書くことで救われるというのは説明が難しい。けれども書き始めるとドラマは起こるものである。冊子の末尾にはこう書いた。
まとめ
・日記はあなた自身を見つめるものです、後になって自分に役だってきます。
・まとめようとする力は学力にもむすびつきます。
重要な点を三つにまとめるというくせがつくとこれは暮らしの中でも、また社会に出たときも役立ちます。
・「継続は力なり」といいます、続けていけばかならずこれがキミを助けることにつながります。日記の継続の成果は微々たるものかもしれませんが、この積み重ねがだいじなのです。キミの成長の糧(かて)になることは間違いありません。
◎漢字はなんども書いておぼえましょう。
◎わからない言葉がでてきたら辞書で調べましょう。
言葉は道具、使い慣れると話し方もうまくなります。また、説明もうまくできるようになります。言葉は自分が生きていく上での大切な道具です。日記をしっかりと書いていくとこれをうまく使えるようになります。
地域デビューの話だ。まず、これは29日に始めた。五冊をホッチキスで綴じて、紐で吊しておいた。夕方になって取り込もうとすると風に煽られて飛ばされて下に落ちていた。一冊一冊拾っていくが人が持って行った気配はない。が、最後に気づいた、確か五枚吊り下げたはずだが集めると四冊だった。
「ああ、誰か持っていったんだ！」
持っていったのはたった一冊だった。が、とても嬉しかった。ポスターにはこう記していた。
この冊子は五枚ほどのページ数があります。どうぞご自由に持って行ってください。お父さんやお母さんが持っていかれてこれを子どもに読んで聞かせてくださってもよいと思います。
子どもが持っていったのか、大人が持って行ったのか分からない。もしかしたら誰も持っていかないかもしれないと思っていた。それが一冊なくなっていた。私には心の灯火だった。
次の日は30日だ。この日は四冊がなくなった。やはり嬉しい。ネットでは手応えがない。しかし、現実リアルでは確かな手応えがある。現物そのものがなくなることで反応がじかに伝わってくる。
「あれ、童話作家なのですか？」
たまたま通り掛かった人が話し掛けてきた。冊子には、こう記していた。
子どもたちよ、日記を書こう……
キミのために
童話作家 きむらけん
提言を誰が書いたのか、分かりやすく伝わる方がいいだろうとこう書いていた。
（三）
家の門の前での掲示はしばらく続けるつもりだ。もう十数枚がなくなった。
非常事態宣言は、6日で終わらずにもっと長くなるようだ。子どもにとっては苦難の日々が続くことになる。書くことで救われるというのは説明が難しい。けれども書き始めるとドラマは起こるものである。冊子の末尾にはこう書いた。
まとめ
・日記はあなた自身を見つめるものです、後になって自分に役だってきます。
・まとめようとする力は学力にもむすびつきます。
重要な点を三つにまとめるというくせがつくとこれは暮らしの中でも、また社会に出たときも役立ちます。
・「継続は力なり」といいます、続けていけばかならずこれがキミを助けることにつながります。日記の継続の成果は微々たるものかもしれませんが、この積み重ねがだいじなのです。キミの成長の糧(かて)になることは間違いありません。
◎漢字はなんども書いておぼえましょう。
◎わからない言葉がでてきたら辞書で調べましょう。
言葉は道具、使い慣れると話し方もうまくなります。また、説明もうまくできるようになります。言葉は自分が生きていく上での大切な道具です。日記をしっかりと書いていくとこれをうまく使えるようになります。
