2020年05月06日
下北沢Ｘ物語（3998）―朝ドラ「エール」検索の手引き１―
（一）当ブログのジャンルは学術系、地味でアクセスも普段多くない。が、このところアクセス数が急増している。一昨日は１４６人、昨日は１５１人を数えた。今月から始まったテレビドラマの余波、それは朝ドラ「エール」だ。これに関係する記事へのコンタクトである。「エール」は古関裕而と金子夫妻の物語だ。下北沢文士町在住者ゆえにここでは何度も取り上げてきた。その記事に全国から大勢の人が検索を掛けてきている。「エール」は、夫妻の出身地の福島市や豊橋市が熱望して実現したものだ。夫妻生涯の主舞台である世田谷代田は忘れ去られている。それで「下北沢Ｘ物語(3404）―世田谷代田も朝ドラに加えて―」をアップしもした。当地への関心が高まっているのならばこの際、知られざる世田谷代田を逆発信したい。それで「朝ドラ『エール』検索の手引き」を設けたことだ。
まず、アクセスが一番多いものが次である。４月、５月で７４７をカウントしている。
1. 2019-11-23 下北沢Ｘ物語（3889）―朝ドラと世田谷代田と文化地図―
ここでいう文化地図とは、「下北沢文士町文化地図」改訂８版である。この地図は改訂に改訂を重ねてきた。現今配布しているのは２０１９年１２月１７日発行の８版である。
「下北沢文士町」
いわゆる文士村というのは都内各地に存在する。田端文士村、馬込文士村、阿佐ヶ谷文士村などである。知られていないことだが下北沢を核とする地域一帯には多くの文士、芸術家、文化人が集まっている。その旧居跡を網羅して地図に落としたものが「下北沢文士町文化地図」である。
文士村は、いわゆる村社会的な集まりだ。文士集団が集ってきて一種の共同体ができる、とくには中心人物がいて形成される。田端文士村は芥川龍之介、馬込文士村は尾崎四郎、阿佐谷文士村は井伏鱒二というふうに。下北沢もこの集団がなかったわけではない。当地に一番乗りをしたのは新感覚派の巨匠、横光利一である。
昭和二年に小田原急行鉄道は開通する、翌年冬に横光利一は、阿佐谷文士村を抜けだし、ここに居を構える。彼の家は雨過山房と称され多くの文士たちが集まった。当地の文士達中心人物である。ならば、下北沢文士村とすればよい。が、それはしなかった。なぜか、作曲家古関裕而もここに関係してくる。
（二）
古関裕而は作曲家だ、彼がなぜに当地に来たのか、興味深いことだ。
小田急線に下北沢駅がある。特徴的なことは何か、ここで鉄道線がクロスしていることだ。もう一つの線は帝都線、現井の頭線である。この線を使えば容易に新宿や渋谷に行ける。この点は大きな魅力であった。
昭和二年、小田原急行鉄道が開通して沿線一帯は急速に開けてきた。鉄道交差部は利便性が高い、あっちからもこっちからも人がやってくる。ここがポイントだ。人の交通、行き来が盛んであった。これによって人は集まってきた。
古関裕而は昭和六年に当地、世田谷代田に越してくる。この二年後に井の頭線は開通して下北沢は鉄道が交差する町となった。町はこれをしおに大きく発展していく。
しかし、先鞭をつけたのは小田原急行鉄道だ。昭和二年に開通するとこの暮れに、世田谷代田、当時は世田谷中原駅といった、このすぐそばに「帝国音楽学校」が開校する。作曲家が当地に在住するようになったのはこの学校と関係する。
彼の奥さんは、古関金子、彼女は声楽の勉強を始めようと、この学校に入学した。一帯は郊外地で自然も豊かで静かである。奥さんが学校に通うのも便利、それで古関裕而はこの地に居を構えた。それが昭和六年のことだ。
文士村の中心人物はたしかに存在した。が、彼とは無関係に文化人が集まってきた。古関裕而はその一例だ。
（三）
古関裕而が代田に越してきた同じときに萩原朔太郎が下北沢にやってくる。が、やがてこの地に新たな鉄道ができるというので、朔太郎は隣の世田谷代田に移転する。
古関裕而と萩原朔太郎、極めて近いところに住んだが、その交流はわからない。しかし、文化人のネットワークはどこかで繋がっている。
昭和十二年に「愛国の花」という曲がヒットする。作詞は福田正夫、作曲は古関裕而である。福田正夫と萩原朔太郎は知友である。距離的にはとても近い、この辺りの交遊史もおもしろい。
文士町と名づけたのは、その形成過程にある、人が集めたというよりも物が集めた。それは鉄道だ、交差の利便性から文化人や芸術家が集まってきた。それで文士町と称している。（写真は、古関裕而のお孫さんの松本幸子さんから戴いたものだ）
古関裕而は作曲家だ、彼がなぜに当地に来たのか、興味深いことだ。
小田急線に下北沢駅がある。特徴的なことは何か、ここで鉄道線がクロスしていることだ。もう一つの線は帝都線、現井の頭線である。この線を使えば容易に新宿や渋谷に行ける。この点は大きな魅力であった。
昭和二年、小田原急行鉄道が開通して沿線一帯は急速に開けてきた。鉄道交差部は利便性が高い、あっちからもこっちからも人がやってくる。ここがポイントだ。人の交通、行き来が盛んであった。これによって人は集まってきた。
古関裕而は昭和六年に当地、世田谷代田に越してくる。この二年後に井の頭線は開通して下北沢は鉄道が交差する町となった。町はこれをしおに大きく発展していく。
しかし、先鞭をつけたのは小田原急行鉄道だ。昭和二年に開通するとこの暮れに、世田谷代田、当時は世田谷中原駅といった、このすぐそばに「帝国音楽学校」が開校する。作曲家が当地に在住するようになったのはこの学校と関係する。
彼の奥さんは、古関金子、彼女は声楽の勉強を始めようと、この学校に入学した。一帯は郊外地で自然も豊かで静かである。奥さんが学校に通うのも便利、それで古関裕而はこの地に居を構えた。それが昭和六年のことだ。
文士村の中心人物はたしかに存在した。が、彼とは無関係に文化人が集まってきた。古関裕而はその一例だ。
（三）
古関裕而が代田に越してきた同じときに萩原朔太郎が下北沢にやってくる。が、やがてこの地に新たな鉄道ができるというので、朔太郎は隣の世田谷代田に移転する。
古関裕而と萩原朔太郎、極めて近いところに住んだが、その交流はわからない。しかし、文化人のネットワークはどこかで繋がっている。
昭和十二年に「愛国の花」という曲がヒットする。作詞は福田正夫、作曲は古関裕而である。福田正夫と萩原朔太郎は知友である。距離的にはとても近い、この辺りの交遊史もおもしろい。
文士町と名づけたのは、その形成過程にある、人が集めたというよりも物が集めた。それは鉄道だ、交差の利便性から文化人や芸術家が集まってきた。それで文士町と称している。（写真は、古関裕而のお孫さんの松本幸子さんから戴いたものだ）
