2023年01月04日
下北沢X物語(4622)―2023年新春雑感―

(一)新しい年が巡ってきた。三が日テレビは見なかった。騒がしく、軽薄で内容が薄いからである。が、社会の実相は大きな変化が押し寄せてきている。ある新聞の新年論調では、「政権の専横と代議制の不全」と述べていた。国民の声を聞くことなく政権が社会の方向を一方的に決してしまっている。問題は数多くあるが、一つは平和憲法を骨抜きにして「敵地攻撃能力を持てる国にする」という強い意志表明をしたことである。もう一つは原発再稼働を積極的に推進し、新増設まで認めようと方針である。これまでになく荒っぽい、ここら辺りに空気として感じることは国民に生じているのは無力感であり脱力感である。生きていく意欲を減退させている、言えば日本人が日本人として誇りをも奪うものである。そういう危惧をも感じる。
言えば日本人としてのレーゾンデートル、存在意義が希薄化しているように思う。戦争のことについてはこれまで数多く調べてきた。
例えばこんな話があった。北鮮からの引き揚げ者だ、徒歩で引き上げ港までめざす。苦しい逃避行である、子どもも大勢いる。ところが子どもたちは教育を受けていない、日本語と朝鮮語を交えたチャンポン語で会話をしていた。このままでは子どもは何人が分からなくなってしまう。それで親たちは即座に国語教室を開いて日本語を教えたという。
取材の過程では多くの人と出会う。漬物研究家の鈴木豊さんもその一人だ、戦時における漬物の重要性を教わった。沢庵なり、福神漬けは外地へ行く兵隊には必須だった。たとえ食事が不味くても漬物が出てくると兵は喜んだ、日本の味を通して自身が日本人であることを認識したという。
台湾出撃の特攻隊員のことを調べた。かの島は本国から離れた辺境にある。物資も十分に手にはいらない。戦闘機を特攻機に転用することへの抵抗があった。特攻機に使えばそれっきりだ。それで第八航空師団は独自の戦法を考えた。夜間爆撃戦法だ、夜闇に乗じて戦闘機を飛ばし、低空まで行って爆弾を落とし戻ってくる戦法だ、危険であるが機は存在する限り何度も使えた。
特攻機もつぎはぎだらけのオンボロである、不足する部品は壊れた機から外してくっつける。台湾からは数多く特攻機を沖縄へ飛ばしている。が、中古機はガラクタみたいなもので行くので沖縄までたどりつけない。多くの隊員が特攻に失敗している。
が、彼らの執念はすごい、重傷を負った特攻隊員が明日出撃するという特攻機の整備を多くが手助けした。何とか行ってほしいという強い願いから片手を繃帯で吊りながらも懸命に機の整備をした。日本人であるという誇りが彼らを動かしていた。
(二)
先にテレビは見ないと言った。が、ユーチューブは見ている。この視聴率が高くなっていることは、コマーシャルの数を見ていてもわかる。つぎつぎとこれを繰り出してくる。先送りはできる、が、煩わしくなるほどにコマーシャルは流される。それでも見るのは一つはおもしろいからだ。またもう一つは論調が鋭いからである。
リベラル系のYouTubeも群雄割拠だ、政権の横暴を鋭く衝く、痛快と思うほどである。が、地上波のテレビはどこも生ぬるい、お茶を濁している感じがする。
しかし、番組の消長というのはある、一頃ボランティア団体が進入禁止の区域に入ってくるとその車を停めて窓に大きなワッペンを貼るという番組があった。法を巡って当事者が喧嘩をする。言えば民主主義である。が、これはロシア発信のユーチューブだ、ロシアのウクライナ侵攻以後、ほとんど見る人がいなくなって消えたようだ。
番組の傾向として多いのはDIYである。低廉な土地付き中古物件を買ってこれを改造していくというものだ。田舎ののんびりとした風景があったり、楽しんで野菜づくりをしたりするというものだ、これが今大流行している。
これを見て思うのは国民の嫌気感だ、給料も上がらない、仕事はきつい、政治も煙ったい、現実から逃れて田舎にでもいってのんびりしようか、行かないまでも脱出した人のものを見るだけでも気が晴れる。実際自分でも田舎には行けないが雰囲気は楽しめるということでよく見る。
(三)
人々にはびこって来ているのは現今日本社会からの脱出願望である。田舎に行くのも一つだが、このまま日本で暮らしていても先行き危ういと海外での生活を考えている若者が増えているという。
右傾的な人々は日本の伝統美とか歴史の重みとかいう。が、にっちもさっちも行かなくなった体制を大変革しようという考えがない。政治家の世襲などは好例である。平和憲法を売りにしてこれからの新しい日本を作っていく。原発から自然エネルギーへの大転換を行う。そういう大英断をしないかぎり日本は沈んでいくばかりだ。
(写真は3日、田園調布の崖線から取った富士)



















