2004年10月07日

下北沢の魅力(24)〜ざわはざわざわ、かつては狐狸の住む村〜

f722bdb4.JPG  小田急線開通前夜の浮遊的物語である。
「なにぃ,開通するという鉄道線路に下北沢駅はないっていうのか!」
「はい,下北沢村を通る鉄道線路の計画に駅はありません。図面を見ると,東北沢駅のつぎは,世田谷中原(現在の世田谷代田駅)になっているんですよ」
「下北沢は通過するだけになっているというのか,それはけしからん,なんでここに駅を造らないのか?」
「ええ、それがですね……」
「なにを遠慮しているのだ。いいたいことがあれば言え」
「はい、わかりました。新しく敷かれる線路の測量に来た鉄道のやつになぜ下北沢に駅を作らないのか聞いてみたんですよ。そしたらですね。『下北沢に駅を作ってももうからないぜ。あのな、測標がたびたび動かされるんで不思議に思っていたらとんでもないやつが悪戯してたんだ。タヌキ,キツネだよ。トロッコ動かすと奴らそれに化けやがって人夫を震え上がらせやがる。そんな連中しか乗ってこないような所に駅作ってもしょうがあるめぇ』って言うんですよ」
「昭和の御代になったというのにな、タヌキやキツネが出てきやがる。電車も止まらないようだったらますます時代から取り残される。代表を集めて下北沢駅を作ってもらうように鉄道側に陳情するしかないな」
「はい、そうですね。それがいいですよ」
「だとすればだ、あのなちょっと頼みがあるんだけど……。ここらへん近辺のタヌキ,キツネを退治してくれないか」
「めっそうもありません。タヌキはタヌキ汁にして食えますが。キツネは化けて現れますから。それだけは勘弁してください……」。
 下北沢通史 佐藤敏夫 昭和六十一年三月発行という本がある。その128ページに,小田急の駅設置計画に下北沢が入っていなかったとあった。それを素材に一つのエピソードを想像してみた。「ふるさと世田谷を語る」にも狐狸の話は多く出てくる。
 駅設置の陳情は実って「下北沢駅」は誕生したそうだ。開通は昭和2年(1927年)だ。駅は周辺農家の次男三男坊のいい勤め口だったようである。*写真は北口、一番街で目に付いたものだ。

rail777 at 20:50│Comments(0)│TrackBack(0)│

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